婚約破棄されて辞めた帳面係ですが、北の公爵様が給金を下げさせてくれません
最新エピソード掲載日:2026/10/17
「いくら払えば、引き受けてもらえる」
婚約破棄の祝宴を出たリディアに、廊下で待っていた北の公爵アレクシスはそう訊いた。広間の誰もが彼女の顔を見ていた夜、彼だけが、白い痕の走る右手を見ていた。
王宮の灯が六年間一度も揺れなかったのは、伯爵令嬢リディアの右手が、その揺れを冷えとして受けていたからだ。そうと知らない王太子は「帳面係はいらない」と婚約を破棄した。リディアは自分が署名した一頁目の契約を撤回し、その夜のうちに王宮を出る。翌朝、王太子の朝湯は水になった。
雇いの契約書は、給金の欄だけが白かった。自分の値を書けずに「院と同じで結構です」と言うと、公爵は四十四を消して四十五と書く。「下げろと言われるたびに、一枚足す」。条項には「北では、契約官の身体に線を受けさせない」「雇い主は、雇った者に夜食を出す」。
凍った水差しと一人きりの薬師から始まる北の暮らしで、リディアは井戸と灯を直していく。灯の消えていく王都から伸びる取り戻しの手は、人前で、一言で退ける。
そして三十日目の夜、もう一度差し出された白い欄。今度は、期間の欄だった。
全150話・毎日更新。
(旧題:婚約破棄された祝福契約官、王家の奇跡をお返しします)
【旧版を読まれた方へ】
2026年10月4日に第1〜90話を改稿版へ差し替えました。第91話以降も改稿版の続きです。
読み直す際は、第1話からお進みください。
https://ncode.syosetu.com/n6562mf/1/
婚約破棄の祝宴を出たリディアに、廊下で待っていた北の公爵アレクシスはそう訊いた。広間の誰もが彼女の顔を見ていた夜、彼だけが、白い痕の走る右手を見ていた。
王宮の灯が六年間一度も揺れなかったのは、伯爵令嬢リディアの右手が、その揺れを冷えとして受けていたからだ。そうと知らない王太子は「帳面係はいらない」と婚約を破棄した。リディアは自分が署名した一頁目の契約を撤回し、その夜のうちに王宮を出る。翌朝、王太子の朝湯は水になった。
雇いの契約書は、給金の欄だけが白かった。自分の値を書けずに「院と同じで結構です」と言うと、公爵は四十四を消して四十五と書く。「下げろと言われるたびに、一枚足す」。条項には「北では、契約官の身体に線を受けさせない」「雇い主は、雇った者に夜食を出す」。
凍った水差しと一人きりの薬師から始まる北の暮らしで、リディアは井戸と灯を直していく。灯の消えていく王都から伸びる取り戻しの手は、人前で、一言で退ける。
そして三十日目の夜、もう一度差し出された白い欄。今度は、期間の欄だった。
全150話・毎日更新。
(旧題:婚約破棄された祝福契約官、王家の奇跡をお返しします)
【旧版を読まれた方へ】
2026年10月4日に第1〜90話を改稿版へ差し替えました。第91話以降も改稿版の続きです。
読み直す際は、第1話からお進みください。
https://ncode.syosetu.com/n6562mf/1/
婚約破棄の夜に、私も辞めることにしました
2026/05/22 20:05
(改)
夜明けまで六時間
2026/05/23 20:00
(改)
王太子殿下の朝湯が冷めました
2026/05/24 20:00
(改)
冷めないうちに
2026/05/25 20:00
(改)
聖女の手から煙が上がる
2026/05/26 20:00
(改)
井戸には名前が二つある
2026/05/27 20:00
(改)
王都からの命令書に、条件書でお返事しました
2026/05/28 20:00
(改)
はじめてのお給金
2026/05/29 20:00
(改)
女官長、異国の商人の前で頭を下げる
2026/05/30 20:00
(改)
殿下が開けなかった三十六件
2026/05/31 20:00
(改)
院の副監が請求書を持ってきました
2026/06/01 20:00
(改)
偽の関所は通しません
2026/06/02 20:00
(改)
戻れば許す、だそうです
2026/06/03 20:00
(改)
困ればいいと思いました
2026/06/04 20:00
(改)
王太子殿下、一晩で音を上げる
2026/06/05 20:00
(改)
削られた母の名
2026/06/06 20:00
(改)
吹雪へ引き返した公爵
2026/06/07 20:00
(改)
王太子、泥を踏む
2026/06/08 20:00
(改)
聖女は名前を貸さない
2026/06/09 20:00
(改)
凍った川に、一筋の白
2026/06/10 20:00
(改)
引き抜きの商人と、昇給する公爵
2026/06/11 20:00
(改)
読み上げられなかった、布令の続き
2026/06/12 20:00
(改)
灯を結ぶ夜
2026/06/13 20:00
(改)
北には客間が一つ
2026/06/14 20:00
(改)
四つの質問
2026/06/15 20:00
(改)
殿下。私はもう、殿下の保証人ではございません
2026/06/16 20:00
(改)
聖女候補の授業料
2026/06/17 20:00
(改)
花屋の前を三周する人
2026/06/18 20:00
(改)
三十日目の夜
2026/06/19 20:00
(改)
院長の手袋と、黒い封
2026/06/20 20:00
(改)
黒い封は、宛名を間違えています
2026/06/21 20:00
(改)
甘党の調べ役
2026/06/22 20:00
(改)
女官長、北の氷を五倍で買う
2026/06/23 20:00
(改)
母の印は、死んだあとも押されていた
2026/06/24 20:00
(改)
副監の署名の手
2026/06/25 20:00
(改)
勝った夜、袖の長さ
2026/06/26 20:00
(改)
公爵は警告を伏せた
2026/06/27 20:00
(改)
戸を、閉めたか
2026/06/28 20:00
(改)
退団願の、白い欄
2026/06/29 20:00
(改)
知らせなかった朝
2026/06/30 20:00
(改)
王太子、桶を持ち上げられない
2026/07/01 20:00
(改)
公爵が捕まえた男
2026/07/02 20:00
(改)
院長の靴の箱
2026/07/03 20:00
(改)
叩き出されかけた公爵と、温め直した煮込み
2026/07/04 20:00
(改)
聖女は手で祈る
2026/07/05 20:00
(改)
三千人の名前
2026/07/06 20:00
(改)
待ち伏せのあと、公爵が怒鳴った
2026/07/07 20:00
(改)
魚屋の裏口にかくまわれて
2026/07/08 20:00
(改)
王太子殿下の名で、七灯をともす
2026/07/09 20:00
(改)
夏至の大祭、右の靴を脱いだ男
2026/07/10 20:00
(改)
聖女候補、祈るのをやめます
2026/07/11 20:00
(改)
門を押さえる手、川を呼ぶ声
2026/07/12 20:00
(改)
男は、弟の名を言った
2026/07/13 20:00
(改)
前の日に乾いていた布告
2026/07/14 20:00
(改)
聖女候補様は、再開していません
2026/07/15 20:00
(改)
公爵領を賭けます
2026/07/16 20:00
(改)
北の書庫を守れ
2026/07/17 20:00
(改)
院長様は、黙っていた
2026/07/18 20:00
(改)
甘いとは、仰っていないのですね
2026/07/19 20:00
(改)
母の墓と、父の字
2026/07/20 20:00
(改)
夜食代の一行
2026/07/21 20:00
(改)
聖女候補です
2026/07/22 20:00
(改)
もう会わないと決まったようには、思わないでほしい
2026/07/23 20:00
(改)
被告の腰掛けを、お取り替えください
2026/07/24 20:00
(改)
私が押したのは一件です
2026/07/25 20:00
(改)
同じ夜に押された三十六枚
2026/07/26 20:00
(改)
殿下、全部お読みになりましたか
2026/07/27 20:00
(改)
私の知る母は、三か月と書いて家へ帰っています
2026/07/28 20:00
(改)
よい働き手でした
2026/07/29 20:00
(改)
エッダの桶、サラの針
2026/07/30 20:00
(改)
王家が困ればよいと思いました
2026/07/31 20:00
(改)
判決
2026/08/01 20:00
(改)
判決の夜、院の台帳庫が燃える
2026/08/02 20:00
(改)
覚えていたスープ
2026/08/03 20:00
(改)
兄の手紙は、魚の大きさで揉める
2026/08/04 20:00
(改)
払えない請求書
2026/08/05 20:00
(改)
脈は取らせません
2026/08/06 20:00
(改)
結び目の固い花束
2026/08/07 20:00
(改)
倒れた契約官
2026/08/08 20:00
(改)
続きは、起きてから
2026/08/09 20:00
(改)
杖持ちを、証言台へ
2026/08/10 20:00
(改)
出納係は値段を言う
2026/08/11 20:00
(改)
低地の夜、魚が飛ぶ
2026/08/12 20:00
(改)
聖女の母は、嘘をつかせたかった
2026/08/13 20:00
(改)
院の書庫を開けさせます
2026/08/14 20:00
(改)
王太子の署名では、誰も動かない
2026/08/15 20:00
(改)
明日の朝、逃げないでくださいね
2026/08/16 20:00
(改)
名前を忘れる村
2026/08/17 20:00
(改)
村人たちは、北の契約官を呪った
2026/08/18 20:00
(改)
割れていない印影
2026/08/19 20:00
(改)
王太子殿下、下町の水番になる
2026/10/06 21:00
ひびを描き足した偽印
2026/10/07 21:00
小川一本ぶんの水
2026/10/08 21:00
王太子、自分の足で村へ
2026/10/09 21:00
父は、院の紙に署名しない
2026/10/10 21:00
清めの水、只
2026/10/11 21:00
私は、この縁談に署名しておりません
2026/10/12 21:00
母の部屋は、六尺狭い
2026/10/13 21:00
壁の継ぎ目を読む
2026/10/14 21:00
母の辞任届
2026/10/15 21:00