長卓のない食堂
十二人が座れた主食堂を閉じたまま、オズヴァルトは二人分の小食堂で、自分の皿だけを遠くへ置いた。
春第2月第10日、第1鐘。窓際の細い卓には、温め直した麦粥と黒パンが二切れずつある。父は卓の端へ座り、娘との間に空の椅子を一脚残していた。
リディアは空いた椅子の向こうに座り、昨夜から掌に残る爪の跡を、湯気の中で握り直した。
「昨日の申請を、お父様はいつ知ったのですか」
オズヴァルトは匙を置いた。
「マリアンヌが先に提案した。家と、お前の将来を両方守るには必要だと」
「それを示す同時の記録はありますか」
「妻の言葉を疑えと言うのか」
「あなたの記憶と、あなたがしたことを分けて聞いています」
父は窓の方を向いた。主食堂の冬掛けを外したせいで、朝の光が廊下の奥まで入り、小食堂の銀器についた細かな傷も見えた。
「申請は家から送られた。関連する控えは、後に封じられた」
「誰が送りましたか」
「家の書記だ」
「誰が命じましたか」
彼の手が皿の縁へ触れた。遠くへ置いたはずの皿を少し引き、もう一度止める。
「私が送付表紙へ署名した」
リディアは次の問いを待った。父は息を吐いた。
「私が書記に送らせた。後で、関連する家控えを保管し、封じるよう命じたのも私だ」
「私が」を口にするたび、オズヴァルトは匙の柄を持ち替えた。
「母が先に提案したというのは」
「私がそう覚えている」
「その順序を、ほかの人が確かめられるものは」
「ない」
麦粥の表面から湯気が消えていった。母が先だったのなら父は従っただけだ、と考えたところで、リディアは匙の柄を見た。
「独立供述へ出してください」
「お前が聞いたことでは足りないのか」
「私が書けば、家族の会話を私が公の事実に変えることになります。あなたがしたことは、あなたが自分で話してください。母が先だったという記憶は、直接した行為とは別に」
「供述すれば、家の外へ残る」
「昨日、母の署名はもう残りました」
「あれと私の言葉を並べれば、家の意図を決められる」
「決められません。だから分けてください。母の署名は母の行為です。あなたの署名と命令は、あなたの行為です」
父は立ち上がりかけ、空の椅子の背へ片手を置いた。
父は空の椅子を挟んだまま皿を自分の前まで引き寄せた。冷えた粥を一匙だけ口に入れ、それから第11日の供述枠を受ける札へ自分の名を書いた。
翌第11日、第2鐘。王都民事記録院の独立供述室前には、背の硬い椅子が三脚あった。
オズヴァルトは供述者札だけを持ち、中央の扉へ入った。リディアには同席札も閲覧札もない。独立記録官が父の後ろで扉を閉め、廊下へ残ったのは、供述中を示す青い木片だけだった。
内側の声は聞こえなかった。時折、記録筆が筆洗いへ当たる硬い音がし、砂時計の砂が一度取り替えられた。リディアは椅子へ座ったまま、鞄の留め金に両手を置いた。父が質問へどう答え、どの行を言い直したかは、扉のこちら側からは分からない。
第3鐘前、青い木片が裏返った。オズヴァルトは一枚の受理票を持って出てきた。封の表には本人主張、直接行為、記憶の別欄受理とあり、中身は見えない。
独立記録官は扉口で、受理票の交付先が供述者本人だけであることを読み上げた。記録官は室内の砂時計を元の棚へ戻した。
父は受理票を自分の側へ引いた。
「聞かないのか」
「あなたがしたことは、昨日聞きました」
「マリアンヌのことも話した」
「それはあなたの記憶として残ったのでしょう」
オズヴァルトは受理票を自分の革挟みへ入れた。リディアは受理票から視線を外し、硬い椅子から立った。
「したことは聞きました。許したとは言いません」
父は廊下の先にある出口を、娘より半歩遅れて歩いた。
第4鐘、エルンスト家の正門には買主の荷台が二台入った。事前に担保外と照合された主食堂の長卓一脚、椅子十脚、家用の箱馬車一台が売却対象だった。
箱馬車の家紋板は外され、車輪止めも買主の物へ替えられている。オズヴァルトは買主の二人と一緒に、長卓を端から持ち上げた。脚が扉枠へ当たりそうになるたび、彼自身が角度を変える。
食堂の両開き戸を外しても、卓は横のまま通らなかった。買主は脚を外す道具を出したが、オズヴァルトは売却目録の現状渡し欄を確かめ、卓を縦へ起こす方を選んだ。肩へ重みが掛かると、父の膝が一度沈んだ。自分で数を掛け、もう一度上げた。
卓が廊下へ出ると、その下の床だけが周囲より白かった。椅子は二脚ずつ縄で束ねられ、十脚すべてが別の荷台へ載る。リディアは搬出票の数量を指で追った。
代金は四十六銀貨だった。会計台で十二銀貨が三つの小袋へ分けられ、退職したミレイユ、ハルト、ネラの追加生活補填として、それぞれの指定受領口へ送られた。次の二十五銀貨は残る五人の賃金袋へ入る。最後の九銀貨で、燃料札と穀物札が買い戻された。
三つの補填袋には同じ額を入れたが、行先札は別だった。染物店の帳場、紙問屋の共同乾燥場、市営洗濯場。使いは三つの門から別々の時刻に出た。
残る五つの賃金袋には、一人ずつ次回支払日が書かれた。厨房の者が、その次の月も出るのかと尋ねる。オズヴァルトは今ある燃料札と穀物札、次の賃金日を順に読んだ。
借入第27号の受領皿は台に出なかった。四十六枚を数え終えると、家会計の残額欄は零で閉じた。
「利息へ一枚でも入れれば、見栄えは変わります」
家帳簿保管者が言うと、オズヴァルトは五つの賃金袋を見た。
「次の給金日を越えれば、また私が人の時間を借りる。これはそちらへ使う」
残る五人は、主食堂へ運び込むはずだった夜の食器を厨房前で抱えている。長卓が門を曲がる音を、それぞれ別の距離で聞いていた。
最後の卓脚を買主の荷台へ上げると、オズヴァルトは空いた主食堂へ戻った。床の白い長方形の外に五人を立たせ、自分もその端へ並んだ。
「主食堂は閉じる。今夜から、私の膳も厨房前へ運んでくれ」
一人が食器の数を尋ね、父は六人分と答えた。かつて十二脚を並べた部屋で、その声だけが壁へ返った。




