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露店番号のない夜

封鎖した棚には、数が合うように瓶が並んでいた。足りない四十八本は、封鎖の前に帳簿から出ていた。


冬第12月第29日、第1鐘。王都商会倉庫の発送台で、リディアは二箱分の控えを監督者用の透明板越しに読んだ。宛先はリム枝村共同荷置場。共同商人票は一枚で、受取人も運送人も記されていない。


東門前の荷替え場では、箱のまま通った記録が途切れていた。四十八本は布で十二包に巻かれ、各四本。村の共同受領台には八包の印があり、返送票の数字もそこで止まっていた。


「二箱が十二包。村で八包。ここまでは荷の数です」


ローヴェンは発送控えの端へ、東門通過鐘と照合番号を書いた。


「四包の持ち主は」


「個人を示す記載がありません。共同商人票から名前は作れません」


東門の登録市場では、荷番限定の探索札を付けた係が二人ずつ天幕へ入った。対象荷番を棚板の裏、空瓶籠、荷車の底へ照らし合わせ、別荷番の青瓶は栓を戻して売り台へ置いた。


ある薬草天幕では、薄青い瓶が二十本並んでいた。係は一本ごとに底を持ち上げ、印刷荷番を照合し、対象外の品を棚へ戻した。売り手は真正な仕入れ票を胸へ抱え、最後の一本が返るまで両手をそこに置いた。名の似た商品まで止めれば早いが、年初に必要な咳薬も水も、同じ棚から消える。


年末の仮市へ来た行商人の一部は、外門の注意札が届く前に入域していた。登録天幕の後ろには大きな雨除けが継ぎ足され、古布で区切った寝床と荷置きが同じ土間に並ぶ。公式の露店番号は翌春第1月第1日、第1鐘から交付される。番号札を結ぶ紐は空で、寝床布は人が動くたび持ち場を変えた。


一枚目の布幕へ手を掛けた探索員は、共同商人票を入口へ掲げた。対象荷を見たという札は手元に残り、名義人を名乗る声も出てこない。荷番限定札が開けるのは、所持者か販売物を現認した幕である。彼は手を戻し、その寝具幕へ観察継続の小札を掛けた。


リディアは閉じた幕の数を指で追った。七つまで数えたところで、奥の暗がりにさらに継ぎ目が見えた。


「第1鐘を待てば、番号交付口へ持ち込まれます」


「交付口へ来る荷に限ります」


ローヴェンが見たのは、雨除けの脇に残る細い通路だった。寝床同士で手渡された瓶は、交付口にも荷番照合所にも出ない。


二人の係が、翌朝開く露店番号交付口へ長椅子を運んだ。別の二人は荷番照合所の鍵を受け取り、対象荷の栓形を描いた板を壁へ立てる。注意板には一つの荷番が書かれ、残る班は登録市場の検索と雨除け奥の探索を続けた。


第2鐘から雪が細かくなった。登録番号のある天幕は、検索済み札が入口に増え、荷車の車輪まで白く濡れた。リディアは同じ栓形を何度も見て、対象外の番号をそのたび読み直した。早く終えるための広い停止線を引けないことが、足の冷えと、空振りの棚の数になって残った。


第29日、第3鐘。独立記録官の版保管室で、政策原案と上席修正版が両手幅を空けて置かれた。原案には、王家側の運行表不開示と無署名命令が地方の確認を押し退けた経緯が残り、修正版はそれを原案参照へ置いたまま、地方運用の継続、外部監査、非常指揮の時間だけを定めていた。年明けにも井戸の夜番、治癒所の薬倉、雪道の警告灯を止めないためだった。監督者の副署を受けたリディアは、春第1月第1日、第1鐘に発効、冬第12月末日に失効、非常指揮は一回最長十二時間と記した。恒久法は、ここには置かない。


ローヴェンは外套から、受領者ローヴェン・ハルト、文面『辺境違反を確定せよ』とある当初内示を出した。版の根拠にはせず、自分が何を受け取って現地へ入ったかを示す別の受領履歴へ封じる。印が乾くと彼は紙から手を離し、昇進取消番号の入った人事受領札を鞘へ収めた。


末日、第1鐘から第2鐘、二つの版番号を付した暫定令が評議会の承認台を通った。同じころ、ユリウスの無署名命令権を停止する札は王家権限手続へ、国境補償の束は補償裁定部へ、別々に運ばれた。銀筆の細箱も封蝋を切られないままローヴェンの受取札から外され、中立公証金庫へ預けられた。二人の受領者がそれぞれの鍵を抜いた。


末日、第3鐘。リム枝村から遅れてきた返送票の革筒は、雪泥で下半分が黒かった。


村の受領票は八包を数えていた。返送票には、共同荷置場を外れた四包を年末市の荷へ積み直し、東門域内で返した時刻がある。返送先には共同商人票の番号が写り、受取人、寝床、売場の位置には同じ斜線が三本引かれていた。


リディアは二枚の番号を照合板の左右へ留めた。確定できるのは、四包十六本が東門の内側へ戻ったことまでだった。


第4鐘前、登録市場の最後の天幕から探索員が出てきた。敷布は巻かれ、棚には値札の紐が残っている。探索員は荷車の車軸と空瓶籠を描いた照合図へ斜線を引き、検索済み札を入口へ掛けた。


検索済み札が最後の入口へ掛かった時、雨除け側では寝具を抱えた人影が二つ、別々の幕へ移っていた。公式天幕を空にしても、寝床兼荷置きの境は動く。探索員の地図は天幕番号で終わり、その先は灰色の土間として塗られていた。


露店番号交付口では二人の係が戸の内側へ入り、夜明けに使う番号札を順に並べた。荷番照合所にも二人が残る。両方の台で、照合印は八包の位置に止まっていた。


雨除け奥で、寝床を仕切る布が一枚揺れた。売場の灯ではなく、床へ置かれた小さな油皿の光だった。探索班は荷番札を手に、荷車を避けて二度折れる通路へ身体を横向きにして入った。


一枚目の寝具幕の先には、互い違いに二枚が下がっていた。一つ目の寝床は空で、二つ目にはほどいた荷縄とまだ温かい藁がある。三枚目の向こうで瓶同士が触れた途端、寝具を抱えた人影が横切り、音は別の曲がり角へ移った。


探索員が回り込むと、三枚の布は人の肩と荷籠に押され、また違う隙間を作った。見えるのは背中、寝具、正規荷番の咳薬が入った籠で、鳴った瓶の持ち主は立ち止まらない。


第4鐘が鳴り始めた。三層の布のどこかで、瓶がもう一度触れた。幕の端には、受取人札、寝床札、露店札を結ぶための紐が一本ずつ垂れていたが、三本とも札はない。探索員は音の消えた奥へ限定荷番札を掲げ、三枚目の布を回り込むと、荷籠の脇の隙間へ身体を滑らせて次の曲がり角へ進んだ。


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