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二つの名では足りない

第1鐘の二打目が鳴っている。ルメリア側入口の満了打刻は、まだ最後の線まで落ちていなかった。期限札を押す砂の針は動いており、荷車はその針が端へ着く前に入口を通っていた。


入口記録には、白鹿分水門の施設番号と通過時刻だけがある。札は期限内だった。ヴァルハルト側の返却箱にない番号とも一致していたが、所持者名も積荷も、対岸の紙からは出てこない。


入口係は札を止めた理由がないと答えた。常設班名簿にも外部追補にも触れられないまま、対象施設へ向かう作業者として木戸を開けている。ヴァルハルト側にしかない追補の到着時刻を、リディアは成人書記へ渡した。


上岸路の曲がりから、炭荷車が現れた。傷んだ鉄輪が石を打つたび、荷台の縄が低くきしむ。


リディアは道の中央へ出ず、退避石の脇から荷台を数えた。袋の腹には、一つずつ二十斤の焼印がある。十四袋の高さを示す車軸刻線より、さらに四袋が積まれていた。


下の十四袋は荷台の縁へ収まっていた。残る四袋は中央に二段で縛られ、曲がるたび上の二つが外側へずれる。縄の結び目には、保守荷を数えた入口の消込札がなかった。


「マティアス、止めてください。手綱を引いて、荷を下ろす」


マティアス・ローエは手綱を締めたが、車輪は一回転してから止まった。荷の重みで傷んだ鉄輪が外へ開き、黒い隙間を見せている。


「十八袋です」


「数えた。三軒へ六袋ずつだ」


「三百六十斤。車軸の上限は二百八十です」


追いついたヨハンが、外部雇い追補名簿を開いた。そこにあるのは一回限りの保守荷で、炭の明細ではない。ルメリアの入口係が持つ札の写しには、そもそも荷を書く場所がなかった。


「昨日の保守便は終わった。失った炭一便の二枚も、もう払った」


ヨハンの声に、マティアスは車輪を見た。炭で引いた傷の印へ親指を当て、浮いた鉄輪を押し戻そうとする。


「二枚じゃ鉄輪の継ぎ代にも足りない。あの三軒なら、今日の分で四枚になる。初雪まで、この音で走れと言うのか」


車輪がもう一度鈍く鳴ると、手綱を握る節が白くなった。


言い終える前に、前方からガルドの笛が一度鳴った。現場警備が坂の上下を閉じ、弓へ手を掛けた二人を彼が腕で制する。


「射るな。前を空けろ。荷を下ろせ」


荷車の先には、荷を外せる平らな退避地がある。ガルドは人をそこから下げ、馬が進んでも誰かを轢かない幅を作った。


マティアスは退避地を見た。次に、染色工房へ下る道を見た。小槌で炭を付けた鉄輪の傷が、一番上へ回っている。


彼は手綱を打った。馬の耳が伏せられ、御者台の足板が荷重で沈んだ。


馬が横へ跳ね、十八袋が同じ向きへ傾いた。車軸の片側が沈み、外へ開いた鉄輪が季節流路の導水杭を削る。最初の杭は倒れずに裂け、その後ろへ組まれた止水柵を根元から押した。


ガルドが作った退避地には人がいなかった。荷車はそこで止まりきれず、重い側を季節流路へ落とす。馬の曳き革が先に外れたため、馬だけは斜面の上へ逃げた。


「右へ逃げろ! 流路から上がれ!」


ガルドの声で警備員が斜面へ散る。荷車は横倒しになり、炭袋が道側へ落ちた。破れた袋から黒い塊が転がる一方、外れた止水柵の隙間からは濁水が上岸通常路へ走った。


リディアは水の先を見た。閉じた既存分水門は上流で形を保ち、低地犠牲放流水門の桿も離れた場所で立っている。折れたのは季節流路の導水杭と止水柵だけだった。


「本門、破損なし! 低地門、破損なし!」


水番の声が届く。リディアは答えず、濁水がどの道へ入ったかを木筆で控えた。流れの先は、リナが毎日昼食籠を運ぶ上岸路だった。


マティアスは倒れた御者台から這い出た。額に擦り傷があったが、自分で立てる。警備員は彼を水路から離し、手を縛る前に成人医療係へ見せた。


「炭に触るな。袋数と焼印を先に残せ」


ガルドは逃げた馬へ一人だけ回し、残りを流路へ向かわせた。


両岸の成人書記は、入口通過抄、追補名簿、実荷明細をそれぞれの封へ戻した。現場班は作業札、十八袋、車軸刻線、破断した杭と止水柵へ別々の番号札を付けた。炭袋は焼印が見える向きで濡れた油布へ並べ、水跡は別の布へ取った。ヨハンの例外承認とマティアスの二度目の手綱には、別々の事故票を開いた。


水は止まらなかった。折れた柵の木片が上岸路を削り、乾いていた靴跡を端から崩していく。


第2鐘が鳴る前、詰所の食卓に六人分の昼食が並んだ。五つの籠は家ごとの布を掛けて置かれ、最後の一席だけが空いている。


ヨハンが鐘を数えた。


「リナの籠が来ていない」


見張りは門、治療室、家までの連絡札を照合した。別の入口へ回った記録も、父親以外へ預けた記録もない。四日前に昼食を届けて帰った時には、同じ上岸路で、籠と革当てのある長靴を水番が見ていた。


ヨハンは娘の家へ走らず、いつもの道へ向かった。濁水の縁で膝をつき、流されかけた泥を両手で押さえる。


昨日までの足跡は乾いた縁に残り、踵の革当てが片側だけ角張っていた。新しい跡はその形と重なり、籠を抱えた歩幅のまま水際へ近づいている。


継いだ革の角が、片方だけ土へ深く入る。小さな足跡は、壊れた止水柵の先で濁水の中へ続いていた。


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