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未完の大魔導士――俺の近くでは何も完成しない――

作者:勇者ヨシ君
最新エピソード掲載日:2026/08/03
間宮玲司は、何一つ終わらせられないまま死んだ。

仕事も、勉強も、恋も。
投稿していた異世界転生小説も、すべて途中で更新を止めていた。

完成させなければ、失敗作だと決まることもない。
いつか続きを書くと言っていれば、まだ可能性は残っている。

そうやって結果と責任から逃げ続けた玲司は、想い人へ送れなかったメッセージと、最後の一文がない物語を残して生涯を終えた。

異世界でレイルという少年へ転生した彼の魂から生まれたのは、固有スキル【未完】。

完成直前の物事から「最後の一工程」を奪う力だった。

小説は最後の一文だけ書けない。
母親の刺繍は最後の一針だけ結べない。
パンは何度焼いても中心だけが生焼けになる。
鍛冶師の剣は、最後の仕上げだけが終わらない。

レイルの近くでは、誰かが積み重ねた努力が決して実を結ばない。

村人たちは彼を恐れ、「仕事殺し」「終わらずの子」と呼んだ。

両親は息子を守りながらも、彼の力が生んだ損害から逃げなかった。
幼なじみのリィナだけは、レイルの間違いを叱りながら、彼自身を見捨てなかった。

レイルは他人を守るため、自分の小説を意図的に未完のまま抱える。

やがて彼は、【未完】が完成を消しているのではないと知る。

奪っているのは、物事が世界へ確定する最後の一工程。

それならば、剣撃も。
魔法も。
治癒も。
敗北も。
死さえも。

完成直前で抱え、必要な瞬間に返すことができる。

かつて何も完成させられなかった少年は、無数の未完を背負う大魔導士へ成長していく。

一方、世界を支配する神は、人間の失敗と後悔を終わらせるため、すべての人生を唯一の正しい結末へ固定しようとしていた。

誰も間違えない。
誰も失わない。
誰も選ばなくてよい、完璧な世界。

しかしレイルは知っている。

完成していないからこそ、続きを選べるものがある。
一つを終わらせるからこそ、次を始められることもある。

そして彼の隣には、なぜか前世からずっと待っていたような目で彼を見る、幼なじみの少女がいる。

前世で終わらなかった恋。
今世で始まった二人の人生。
世界を完成させようとする神。

これは、完成を恐れて逃げ続けた男が、何を終わらせ、何を未来へ残すのかを自分で決めるまでの物語。

「終わらせるのは、俺が決める」
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エピソード 1 ~ 100 を表示中
第1章 最後の一文
第2章 魔女と万式魔導環(オムニア)
第3章「旧坑道の慎重勇者」
第4章「昨日唱えた魔法」
第48話「終わらない剣」
2026/07/21 23:47
第53話「昨日唱えた魔法」
2026/07/22 00:47
第5章「世界基準の平凡」
第58話「逃げた風尾栗鼠」
2026/07/23 00:35
第59話「余白は三年分」
2026/07/23 00:53
第60話「詠唱を笑う声」
2026/07/23 01:03
第61話「旧水路の残響」
2026/07/23 01:16
第62話「声を奪った手」
2026/07/23 01:35
第63話「完成した迷宮」
2026/07/23 18:06
第6章「未完と完遂」
第72話「四年前の続き」
2026/07/24 16:48
第75話「赤点候補の勉強会」
2026/07/24 17:38
第79話「秘密の零号」
2026/07/24 23:57
第7章「地図の外の子どもたち」
第91話「杖なしの魔法使い」
2026/07/26 00:31
第92話「井戸を喰うもの」
2026/07/26 01:35
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エピソード 1 ~ 100 を表示中
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