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未完の大魔導士――俺の近くでは何も完成しない――  作者: 勇者ヨシ君
第3章「旧坑道の慎重勇者」

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第40話「英雄ではなく、後始末」

門を守っただけでは、事件は終わりません。

解除後の突進、傷ついた牙猪の進路、壊れた門、水路の罠、村人への説明。そのすべてへ戻った後で、エルシアはオムニアの仮契約を認めます。

 西門の外で、牙猪は走り続けていた。


 牙先と門板の間は、指一本分。


 蹄は土を抉り、前脚から流れた血が泥へ混じっている。踏み込もうとする力が蓄積するたび、レイルの右腕へ新しい痛みが走った。


 エルシアは門の上へ立ち、外の地面へ細い風を這わせた。


「強く押すんじゃないよ。こいつを止めているのは風でも縄でもない。完成条件を変えるまで、身体の向きだけをずらす」


 自警団員が門上から二本の太縄を投げる。


 一本は牙猪の肩の後ろへ。

 もう一本は胴へ。


 正面から引けば、門へ押しつけるだけになる。左右の見張り台から斜めに張り、森側へ回す。


 リィナは小扉の前へ立った。


「私も行く」


「駄目だ」とバルドが言う。


「近づかなきゃ、鼻先を変えられない」

「今度は命綱をつけろ」

「二本でいいよ。三本目は絡むから」


 レイルが驚いて顔を上げた。


「学習が早い」

「誰の事故を見たと思ってるの」

『学習結果ヲ確認シマシタにゃ』

「ニアまで褒めてくれた」

『評価デハナク記録デスにゃ』

「この流れ、さっきもやった!」


 短いやり取りの間にも、牙猪の踏み込みは止まらない。

 リィナは顔を引き締め、小扉から外へ出た。


 彼女自身にも、なぜそこが分かるのか説明できなかった。


 牙猪の脚。

 縄の角度。

 門前の抉れた土。

 次に力が入る肩。


 そのすべてを見た瞬間、右斜め前に一歩だけ空いた場所が見える。


 木剣の平を牙の根元へ当てる。


 押し返すのではない。


 牙猪が踏み込もうとした瞬間だけ、鼻先を森側へずらす。


「今よ、引いて!」


 左右の縄が張られる。


 エルシアの風は、牙猪の身体を直接押さない。足元の泥だけを乾かし、滑る方向を森側へ限定する。

 巨体が、ほんの僅かに回った。


 だが一度では足りない。

 二度目。

 三度目。


 リィナは一撃を最後まで振らず、木剣を戻し切る前に次の足場へ移った。


 肩へ当てる。

 鼻先へ回る。

 前脚が置かれる場所を空ける。


 攻撃として終わらせず、次の動きへつなぐ。


 まだその剣技につくはずの名はない。

 ただ、後にその剣術の核となる動きが、門前の泥の上で生まれていた。


「門が正面から外れたぞ!」


 自警団員が叫ぶ。

 牙猪の身体は、森へ向いている。


 だが、これだけでは解除できない。


 レイルは現在、【未完】を新しい対象へ移さなければ、牙猪へ完成権を返せない。濡れた本編原稿は、まだ完成条件が曖昧なままだ。


「紙をください」

「今から書くのかい?」とエルシアが言う。

「完成させたいと本気で思える対象が必要です。意味のない文章では、保持先になりません」


 エナが乾いた報告用紙と筆を差し出した。


「長くしたらダメよ、レイル」

「分かっています」

「あなたの”分かっています”は、紙が増える前触れなのよね」

「今回は一枚ですから」


 レイルは震える左手で筆を持った。


 長い設定は書かない。

 道具の説明も、敵の数も、退路も書かない。


 少年が一日を終え、家へ帰るだけの話。


 少年は長い道を歩き、家の扉を開けた。

 待っていた人の顔を見て、口を開いた。


「ただ――」


 最後の言葉は分かっている。


 ”ただいま”。


 今は書かない。


 完成が怖いから逃げるのではない。

 必ず後で自分の手で続きを書くと決め、その最後の一工程を一時的に残す。


「この短編へ移す」


 レイルは紙へ左手を触れた。


 牙猪から流れ込んでいた圧力が消え、短編へ移る。

 次の瞬間、牙猪へ奪われていた最後の一歩が返った。


「全員、離れて!!」


 蹄が地面を蹴る。

 蓄積していた突進が一気に完成し、泥と土が爆発したように跳ね上がった。


 牙猪は門ではなく、森へ向かって走り出す。

 一本目の木を肩で折り、二本目を避け、やがて木々の奥へ姿を消した。


 西門は閉じたまま残っている。

 門前に、遅れて土の塊が落ちる音だけが響いた。


 レイルは短編を握ったまま膝をついた。


「レイル!」


 リィナが駆け寄り、倒れかけた身体を受け止める。


「意識はまだある」

「分かってる。腕は?」

「感覚が薄い。骨折、筋断裂、魔力経路損傷の可能性が――」

「先生!」

「見えてるよ」


 エルシアがレイルの腕へ触れる。


 淡い生命術の光が皮膚の上を走り、骨、筋肉、魔力経路の状態を読み取った。


「骨は無事。筋肉の炎症、肩と手首に軽い捻挫。魔力経路も熱を持ってる。最低三日は杖を持つな」

「三日後なら訓練再開可能ですか」

「はぁ......今聞くことかい?」

「予定を組み直す必要が――」

「やっぱり病気だね」


 リィナがその場へ座り、自分の膝を軽く叩いた。


「ほら、頭ここ」

「膝枕は治療上必要ですか」

「いらないならやめるけど」

「必要性を再評価します」

「じゃ、五秒以内ね!」

「必要です」


 レイルが頭を預けた瞬間、リィナの顔も赤くなった。


『体温上昇、双方ニ確認シマシタにゃ』

「黙ってて!」

『原因分類、保留シマスにゃ』


 門上から、小さな笑いが漏れた。


 エルシアだけは、杖で地面を叩いた。


「休むのは後だ。牙猪の進路を確認する」


 レイルは膝枕から身体を起こした。


「僕も行きます」

「お前は右腕が使えないじゃろ」

「痕跡を見るだけなら」

「歩けるかい」

「なんとしても歩きます」


 リィナが背中を向けた。


「はいレイル。乗って」

「自分で歩けるって」

「途中で倒れたら、もっと遅くなるから」

「僕を背負った場合の移動速度低下と、リィナの疲労を考えると――」

「乗るの? 乗らないの? はやくして」

「はい、乗ります」


 レイルは幼なじみの背へ負われた。


『リィナノ現在荷重、許容範囲内デスにゃ』

「食べてるから力あるもん」

『因果関係ハ概ネ正当デスにゃ』

「なんか認められたくない!」


 ♦ ♦ ♦ ♦ ♦


 牙猪の痕跡は、森の奥へ続いていた。


 血は最初こそ多かったが、次第に減っている。脚の傷は蹄と筋肉の損傷で、致命傷ではないらしい。進路も別の村や街道ではなく、山側へ向いていた。


 それでも確認は途中で終わらせない。


 エルシアと猟師がさらに先を追い、牙猪が山中の古い獣道へ戻ったことを確かめた。人里へ向かう痕跡がないと確認して、ようやく追跡を終了する。


 村へ戻ってからも、仕事は残っていた。


 水路の古い罠を完全に撤去する。

 西門の閂と溝を点検する。

 破れた防水布を処分する。

 濡れた原稿を一枚ずつ乾かす。

 避難で止まった荷車と作業を確認する。

 村人へ、門が閉じなかった原因と【未完】の移動を説明する。


 感謝する者もいた。


「お前がいなければ、門は閉まらなかった」


 恐れる者もいた。


「今度は魔物の突進まで終わらなくしたのか」


 過去を忘れない者もいた。


「村を助けたことと、前にパンや剣を壊したことは別だ」


 レイルは、すべてへ頷いた。

 ガルドも門の点検へ来ていた。

 彼は新しい閂の表面を指でなぞり、レイルへ言う。


「今日助けたことと、工房の剣を壊したことは別だ。一緒に考えてはいけない」

「はい」

「どちらも忘れるな」

「はい」


 ドルガはそれ以上何も言わなかった。

 ただ、レイルが右腕を使えないと見ると、置かれていた木材を黙って反対側から持ち上げた。


 仲直りではない。


 だが、レイルを仕事から追い出しもしなかった。


 門の修理材を運びながら、レイルは小さく言った。


「僕は、褒められたかったんだと思う」

「助けたんだから、嬉しいと思うくらいいいでしょ」


 反対側を持つリィナが答える。


「これで前の損害まで消えるかもしれないと、少し期待した」

「それじゃ消えないよ」

「分かっている」

「でも、今日助けたことまで消す必要もない」


 リィナは木材を持ち直した。


「間違ってたら謝る。助けられたら喜ぶ。別々でいいんじゃない?」


 簡単な言葉だった。

 それでもレイルには、必要な区別だった。


 ♦ ♦ ♦ ♦ ♦


 数日後。

 アルヴァート家の食卓へ、【被害記録帳(ひがいきろくちょう)】が開かれた。


【西門修理補助】

【水路罠撤去】

【牙猪追跡確認】

【避難作業の補助】


 過去の返済項目の一つへ、初めて完了線が引かれる。

 帳面の大半は残ったままだ。


 エルシアは、レイルの左手首へ【万式魔導環(オムニア)】を戻した。


「これまでは私の所有者権限で、観測機能だけを貸していた」


「はい」

「今日から、第一階梯限定の仮契約だ。お前を使用者候補として登録する」


 腕輪の表面へ、閉じ切らない七つの環が浮かぶ。

 六つの環が淡く点灯した。


【熱】

【流動】

【風圧】

【地質】

【光】

【生命】


 最後の一環だけは、暗いまま途中で切れている。


【第七環:認証不能】


 黒銀色の猫型ホログラムが食卓へ現れ、環状の尾を立てた。


『仮使用者登録、完了シマシタにゃ』

『第一階梯ヘノ接続ヲ許可シマスにゃ』

『理解度不足ノ術式ハ発動不能デスにゃ』

『自動習得機能ハ存在シマセンにゃ』


 リィナが首を傾げた。


「持っただけじゃ、魔法は増えないの?」

「学べる範囲が見えるだけだ」とエルシアが答える。

「勝手には使えない?」

「使えない。使い方も、危険も、失敗した時の止め方も、自分で学ぶ」


 エルシアは六つの環を杖で示した。


「何でも使える道具じゃない。【何でも学べる入口】だ。まあかさばらない魔導書だと思えばいい」


 レイルは腕輪へ触れた。


「仮契約の理由は、牙猪へ【未完】を移せたからですか」


「それだけなら貸さない」


 エルシアは即答した。


「門を閉じた後、牙猪の進路を見に戻った。壊れた水路も門も確認した。村人への説明から逃げなかった。褒められたかった自分まで、都合よく隠さず記録した」


 杖の先が、被害記録帳を軽く叩く。


「力を見せた褒美じゃない。道具を預けてよいか、試すための仮契約だ」

「正式には、まだ僕の物ではない――」

「当たり前だ。勝手に自分のもの面するんじゃないよ」


 こつん。エルシアの杖がレイルの頭に触れ、リィナがそれを見て笑った。


 ニアの尾へ、レイルの訓練記録が展開される。


『使用者候補ノ魔力回復速度、前月比一・一二倍デスにゃ』


 エルシアの眉が上がった。


「んん……お前、毎日どれだけ魔法を撃ってるんだい?」

「昨日より一回多く、と言われたので」

「言ったのは私だけど、普通は途中で音を上げるんだけどねぇ」

「中止条件には達していません」

「腕を痛めた三日間は?」

「左手で魔力循環だけ行いました」

「休めと言ったね?」

「杖を持つなと言われましたので」


 エルシアの杖が、レイルの頭へ落ちた。


「言葉の隙間ばかり狙ってるんじゃない、バカ弟子!」


 リィナが腹を抱えて笑う。


『指導内容ノ追加ヲ確認シマシタにゃ』

『負傷時ハ、文言ニ関係ナク休養ヲ推奨シマスにゃ』

「ニアまで師匠側へ回った」

『安全性ヲ優先シマスにゃ』


「正しい判断だよ」とリィナが言う。


「三対一なんて、不公平だ」

「父さんと母さんも入れれば五対一だ」とバルドが言った。


 エナも穏やかに頷いた。


「食卓で訓練計画を増やしたら、夕食は片づけちゃいますからね?」


 レイルは即座に計画帳を閉じた。


『最速ノ撤退判断ヲ確認シマシタにゃ』

「夕食食べられなくなるのは困るからな」

「でも、なくなる前には動けたね」


 リィナが笑いながら、煮込みを三杯目の器へよそった。


 被害記録帳には、まだ終わっていない項目が並んでいる。

 その隣では、これから学ぶ六つの基礎現象が淡く光っていた。


 レイルは、あの日に書いた短編を開く。


「ただ――」


 最後の言葉は、まだ残してある。

 逃げるためではない。

 それは――、いつか自分の手で”ただいま”と書き、その物語を完成させるために残した一行だった。


第3章「旧坑道の慎重勇者」は、今回で終了です。


村を守った一度の功績だけでは、過去の損害も、失われた信用も消えません。


それでもレイルは、事件が終わった場所へ戻り、牙猪の進路、壊れた門、水路の罠、村人への説明までやり遂げました。


英雄として認められたからではなく、後始末から逃げなかったからこそ、エルシアはオムニアの仮契約を認めています。


【今回の登場人物】


・レイル・アルヴァート

 牙猪から短編へ【未完】を移し、村を救った功績にも過去の損害にも、別々の責任として向き合った少年。


・リィナ・アルセイル

 牙猪の鼻先と足場を見切って進路を森へ変え、負傷したレイルの運搬と膝枕まで担当した幼なじみ。


・エルシア・ヴァント

 風圧で牙猪の足場を制御し、力の強さではなく後始末へ戻る姿勢を見て仮契約を認めた師匠。


・ニア

 危険照合と訓練記録を担当しながら、膝枕の体温上昇まで正確に報告した黒銀猫型ナビゲータ。


・バルド・アルヴァート

 門の防衛と修理へ加わり、息子の慎重すぎる訓練計画を食卓で封じた父。


・エナ・アルヴァート

 短編を書くための紙を渡し、最後には夕食を人質にして訓練計画を止めた母。


・ガルド

 村を救った功績と、以前に工房の剣を壊した責任を混同せず、レイルへ両方を忘れるなと告げた鍛冶師。


・ドルガ

 レイルをまだ許してはいないが、負傷した右腕を見て門の修理作業から追い出さず、木材の反対側を持った鍛冶見習い。


・牙猪

 門へ届く最後の一歩を奪われ、蓄積した突進を森側へ完成させた大型魔物。脚の傷は致命傷ではなく、山中の獣道へ戻った。


【今回の能力・設定メモ】


牙猪そのものの時間が停止していたわけではありません。


レイルが奪ったのは、牙が門へ衝突するための【最後の一歩】です。


牙猪は未完中も走ろうとし続け、その力は失われず蓄積していました。


リィナたちが先に身体の向きを森側へ変え、レイルが新しい短編へ【未完】を移したため、突進は門ではなく森へ向かって完成しています。


レイルはまだ、保持している完成権だけを任意に返すことはできません。


【章終了時の主な更新】


・レイル

 固有律【未完】の第二段階入口へ到達。接触した完成直前の対象へ、意図的に【未完】を移すことへ一度成功。


・リィナ

 攻撃を最後まで振り切らず、敵の動きと次の足場へつなぐ剣技の原型を実戦で使用。ただし独自流派としては未成立。


・【万式魔導環(オムニア)

 観測機能のみの貸与状態から、第一階梯限定の仮使用者契約へ移行。


・ニア

 黒銀猫型ナビゲータとして、仮使用者レイルの術式表示、危険照合、訓練記録を開始。


・【被害記録帳(ひがいきろくちょう)

 過去の返済項目へ、初めて完了線が一本引かれた。未返済項目と失われた信用は、まだ残っている。


【章終了・現在ステータス】


【レイル・アルヴァート】


年齢:八歳

所属・立場:エルデ村住民/ハルツ冒険者組合補助員

冒険者資格:正式ランク未取得

魔法認定:公的認定なし。基礎魔法と魔力循環を継続訓練中

主要魔法・技能:基礎魔力循環、危険予測、地図作成、罠の発見と撤去、追跡、応急処置、報告書作成

装備・魔導具:【万式魔導環(オムニア)】第一階梯限定仮契約、自作原稿、短杖、過剰気味の探索装備


【固有律【未完】】


能力段階:第二段階入口

危険度評価:測定不能

保持可能数:一件

現在の保持対象:少年が家へ帰る場面を描いた安全装置用短編

残されている最後の一工程:最後の言葉である”ただいま”

対象選択:接触時のみ、意図的な移動へ一度成功。再現性は未確立

任意解除:不能

現在扱える対象:完成条件を理解できる物品、および単純な行為の完成直前

扱えない対象:自分の魔法、他人の魔法、治癒、契約、複数対象

未完負荷:対象が完成しようとする力が身体へ流入する。長時間保持では痛み、炎症、損傷の危険あり

安全装置:短編原稿。定期的に続きを書き、いつか完成させる意思を維持する必要がある


【魔力性能】


総魔力量:未測定

瞬間出力:未測定

制御精度:訓練中

魔力経路耐久:未測定。継続訓練によって回復速度は前月比一・一二倍

現在の制限:複数保持不能、任意解除不能、接触指定の再現性なし。右肩と手首、魔力経路は経過観察中


章内の更新:初の見習い依頼、旧坑道探索、鍛冶工房事故、牙猪事件と後始末を経験。力を使った結果へ戻ることを覚えた


【リィナ・アルセイル】


年齢:八歳

所属・立場:エルデ村住民/ハルツ冒険者組合補助員

冒険者資格:正式ランク未取得

剣術:初級剣士・上位相当。公的認定前

戦技:未認定

固有技能:未鑑定

固有律:なし

独自流派:未成立

主要剣技・技能:木剣、足運び、受け流し、敵の進路変更、近接護衛、負傷者運搬

装備:木剣、探索用軽装、命綱

現在の制限:正式な剣術流派と魔力戦技は未習得。大型魔物へ正面から決定打を与える火力はない

章内の更新:攻撃を終点にせず、敵の踏み込み、次の足場、次の一撃へつなぐ動きを実戦で使用


【エルシア・ヴァント】


年齢:自称五十歳

所属・立場:レイルの魔法師匠/オムニア正式所有者

公的資格:大陸継路組合・Aランク特任術師

主要魔法・技能:無詠唱の風圧操作、生命術による診断、術式解析、追跡、魔導具管理

装備・魔導具:魔導杖、【万式魔導環(オムニア)】所有者権限

現在の制限:オムニアの所有権は継続。レイルの仮契約は監督下にあり、正式譲渡ではない

章内の更新:レイルが力を見せたことではなく、負傷した牙猪と壊れた場所へ戻ったことを評価し、仮契約を承認


【ニア】


種別:【万式魔導環(オムニア)】疑似人格ナビゲータ

現在形態:黒銀猫型ホログラム

使用者認証:レイルを仮使用者候補として登録

解放階梯:第一階梯限定

表示可能領域:【熱】【流動】【風圧】【地質】【光】【生命】

未認証領域:【第七環】

使用可能機能:術式文法表示、危険照合、身体状態確認、訓練記録、使用者認証管理

独自魔法:なし

判断代行:不可

現在の制限:理解していない術式は発動不能。使用者に代わって魔法や【未完】を選択、完成できない

感情成長:機械的な記録発話を維持しているが、会話へ僅かなツッコミらしさが現れ始めている


【アルド・クロイツ】


所属・立場:貴族視察団へ同行した騎士見習い

冒険者資格:なし

剣術:正式な騎士剣術を修行中。公的等級未開示

固有能力:未開示

章内の更新:罠と退路を重視するレイルの戦いを”臆病”と評し、将来へ続く最初のすれ違いが生まれた


【ドルガ】


所属・立場:ガルド鍛冶工房の見習い

冒険者資格:なし

主要技能:鍛冶補助、研磨、資材運搬

章内の更新:レイルによる納品剣の事故で損害を受け、謝罪を受け取っても許さないと明言。それでも村の共同作業からは排除しなかった


【次回】


第4章「昨日唱えた魔法」。


数年にわたる見習い依頼と基礎修行の中で、レイルは接触対象の選択を安定させ、やがて新しい対象へ移さずに【完成権】を返す技術へ挑みます。


そして彼が戦闘中に放つのは、今唱えた魔法ではありません。

”昨日、唱えた魔法”です。

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