『百二十一人目』 ~魔力を持って生まれた子〜
最終エピソード掲載日:2026/09/16
十歳になった子供は、教会で銀の盆に手を入れる。
水が光れば連れて行かれ、光らなければ家に帰される。
その年に生かされるのは、百二十人だけ。
わたしの手を入れた水は、光った。
馬車の中で、いちばん小さい子が訊いた。「灰塔って、なんですか」。
御者も修道士も答えなかった。だからわたしは、橋の手前で逃げた。
追ってきた若い聖堂騎士は剣を抜かず、川と反対の方角を指して、そっちは川だ、とだけ言った。
拾われたのは、灰海の縁にある、名前を訊かない村だった。
そこでわたしは知る。認可の数は毎年変わらない。豊作の年も、凶作の年も、戦のあった年も、ずっと百二十。
盆が光った子の数と、百二十とのあいだにある差は、毎年どこかへ行っている。
これは、その差の行き先を知ってしまった子供の話。
そしていつか、この世界の魔法にもう残りが少ないことを、たったひとりで知ることになる子供の話。
――体に術を刻めば強くなれる。刻めるのは七つまで。
七つ刻んだ者は、十年で全身が石になる。
水が光れば連れて行かれ、光らなければ家に帰される。
その年に生かされるのは、百二十人だけ。
わたしの手を入れた水は、光った。
馬車の中で、いちばん小さい子が訊いた。「灰塔って、なんですか」。
御者も修道士も答えなかった。だからわたしは、橋の手前で逃げた。
追ってきた若い聖堂騎士は剣を抜かず、川と反対の方角を指して、そっちは川だ、とだけ言った。
拾われたのは、灰海の縁にある、名前を訊かない村だった。
そこでわたしは知る。認可の数は毎年変わらない。豊作の年も、凶作の年も、戦のあった年も、ずっと百二十。
盆が光った子の数と、百二十とのあいだにある差は、毎年どこかへ行っている。
これは、その差の行き先を知ってしまった子供の話。
そしていつか、この世界の魔法にもう残りが少ないことを、たったひとりで知ることになる子供の話。
――体に術を刻めば強くなれる。刻めるのは七つまで。
七つ刻んだ者は、十年で全身が石になる。
白い水
2026/09/04 22:28
北の言葉
2026/09/05 07:00
灰を掘る人
2026/09/05 09:00
名前を訊かない村
2026/09/05 11:00
百二十
2026/09/05 13:00
白のままの人間
2026/09/05 15:00
出ていく話
2026/09/05 17:00
眉の傷
2026/09/05 19:00
荷と一緒に
2026/09/06 07:00
縁を回る道
2026/09/06 09:00
環を描く男
2026/09/06 11:00
ヴァイダドッタ
2026/09/06 13:00
沈み月
2026/09/06 15:00
刻む家
2026/09/06 17:00
四つと七つ
2026/09/06 19:00
一つ目
2026/09/06 21:00
冷ます
2026/09/07 07:00
樹の下
2026/09/07 09:00
そんなものはない
2026/09/07 11:00
霜の作法
2026/09/07 13:00
数える子
2026/09/07 15:00
取りすぎてはならない
2026/09/07 17:00
粉
2026/09/07 19:00
二つ目
2026/09/07 21:00
下る道
2026/09/08 07:00
浅い船
2026/09/08 09:00
二つ目
2026/09/08 11:00
板
2026/09/08 13:00
灰狼盟
2026/09/08 15:00
数えられるように
2026/09/08 17:00
返すものがない
2026/09/08 19:00
三度
2026/09/08 21:00
先に下りる者
2026/09/09 07:00
沈み月の海
2026/09/09 09:00
麦の川
2026/09/09 11:00
城は食えない
2026/09/09 13:00
三つ数える
2026/09/09 15:00
眉の傷
2026/09/09 17:00
二日
2026/09/09 19:00
一度
2026/09/09 21:00
春の島
2026/09/10 07:00
北へ
2026/09/10 09:00
谷の上
2026/09/10 11:00
教える
2026/09/10 13:00
柱
2026/09/10 15:00
紙
2026/09/10 17:00
だから何だ
2026/09/10 19:00
二票
2026/09/10 21:00
受ける
2026/09/11 07:00
四十年
2026/09/11 09:00
それらしい数
2026/09/11 11:00
減っている
2026/09/11 13:00
三度目
2026/09/11 15:00
三日
2026/09/11 17:00
読み上げる
2026/09/11 19:00
三年ぶん
2026/09/11 21:00
石の道
2026/09/12 07:00
四千の高さ
2026/09/12 09:00
秤
2026/09/12 11:00
鳴り聞き
2026/09/12 13:00
痩せる
2026/09/12 15:00
止まった坑
2026/09/12 17:00
四十一と十一
2026/09/12 19:00
三つ目
2026/09/12 21:00
三つの港
2026/09/13 07:00
第十の門
2026/09/13 09:00
板
2026/09/13 11:00
年に幾つ
2026/09/13 13:00
埋蔵
2026/09/13 15:00
二重
2026/09/13 17:00
言わない理由
2026/09/13 19:00
三つ
2026/09/13 21:00
戻らない
2026/09/14 07:00
灰の道
2026/09/14 09:00
杭
2026/09/14 11:00
セン
2026/09/14 13:00
メレ
2026/09/14 17:00
内へ寄る
2026/09/14 19:00
取られた
2026/09/14 21:00
二百五十年
2026/09/15 07:00
三国見
2026/09/15 09:00
過去形で話す女
2026/09/15 11:00
嘘だけが分かる
2026/09/15 13:00
十九年
2026/09/15 15:00
歌う霧
2026/09/15 17:00
常在
2026/09/15 19:00
罪
2026/09/15 21:00
立会人
2026/09/16 07:00
十の席
2026/09/16 09:00
眉の傷
2026/09/16 11:00
全員が嘘をついている
2026/09/16 13:00
署名のない土地
2026/09/16 15:00
聞こえないところ
2026/09/16 17:00
なぜ百二十なのか
2026/09/16 19:00
立会人の記
2026/09/16 21:00
百二十一人目
2026/09/16 21:00