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『世界史8点の私に、アリエノール・ダキテーヌは荷が重い』 ~未来の夫も息子も、ろくなことをしないらしい~

作者:雪森蓮
最新エピソード掲載日:2026/09/30
『悪役令嬢かと思ったら、実在の王妃でした。』

目が覚めたら、知らない部屋だった。

石造り。
薄暗い。
寒い。
なんか臭い。

そして知らない女の人が、私の顔を見て言った。

「アリエノール様、お目覚めですか?」

……誰?

どうやら私は、異世界の悪役令嬢に転生したらしい。

そう思った。

だが、待てど暮らせど魔法は出ない。
ステータス画面も出ない。
攻略対象らしきイケメンもいない。

その代わりに出てきたのは、

南フランス。
アキテーヌ公国。
フランス王太子。
十字軍。

…………これ異世界じゃなくない?

しかも私は、どうやら実在した「アリエノール・ダキテーヌ」という女性らしい。

知らん。

世界史なんて、中学時代の最高点8点だ。

フランス王太子との結婚を告げられても、

「ルイ? どのルイ?」

未来の知識で領地を豊かにしようとしても、

「水車って、どうやって作るんだっけ?」

知っている単語はあっても、作り方なんて知らない。

未来の文明を知っていたんじゃない。
ただ、それを使って暮らしていただけだった。

仕方がない。

とりあえず、祖父と父が守ってきたアキテーヌだけは、なんとか守ろう。

そう思って、その時できることを選び続けていたら――どうやら私は、想像以上にとんでもない人生へ足を踏み入れていたらしい。

ちょっと待って。

私、何か変な歴史踏んでない?

世界史8点の女が、ろくに歴史も知らないまま十二世紀を生き抜く。

歴史を変えるつもりはない。
そしてたぶん、変えられない。

これは、アリエノール・ダキテーヌという女の、
かなり長くて、かなり面倒くさい人生の話。
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