掴み屋ハル ―手のひらひとつの、生存戦線―
最終エピソード掲載日:2026/07/16
才能なんて要らない。今日の飯と、寝床が要るんだ。
大異変で文明が崩れ、荒廃した世界。人々は各地に生まれた「迷宮」から資源を奪い、その日をなんとか生き延びている。
ハルの力は「秤の手」――利き手で触れたものの重さを、軽くも重くもできる。ただし片手分だけ、遠隔操作は不可、生物相手には効きが浅く、使えば手が焼けるように痺れて動かなくなる。腕力や魔力のように測れない、地味で扱いにくい力。ギルドの査定基準にも乗らず、彼はただ「掴み屋」と呼ばれてきた――本来は、ハル個人ではなく、使い道のない半端者すべてに向けられる蔑称だ。
超人的な身体能力など無い、生身の18歳。だが自分を軽くして懐に飛び込み、当たる寸前に重さを取り戻す――その一瞬の切り替えだけを武器に、ハルは迷宮の底でも、理不尽な人間社会でも、なにくそと足掻き続ける。皮肉屋で口は悪いが、困っている奴を見捨てられない性分だけが、彼の数少ない取り柄だった。
けれど、灰塚の奥で拾った小さな縁と、割に合わない依頼の数々が、いつしか「掴み屋」の名を上書きしていく。
蔑称だったその名が、いつか世界に知れ渡る二つ名になるまで。
手のひらひとつで、這い上がれ
大異変で文明が崩れ、荒廃した世界。人々は各地に生まれた「迷宮」から資源を奪い、その日をなんとか生き延びている。
ハルの力は「秤の手」――利き手で触れたものの重さを、軽くも重くもできる。ただし片手分だけ、遠隔操作は不可、生物相手には効きが浅く、使えば手が焼けるように痺れて動かなくなる。腕力や魔力のように測れない、地味で扱いにくい力。ギルドの査定基準にも乗らず、彼はただ「掴み屋」と呼ばれてきた――本来は、ハル個人ではなく、使い道のない半端者すべてに向けられる蔑称だ。
超人的な身体能力など無い、生身の18歳。だが自分を軽くして懐に飛び込み、当たる寸前に重さを取り戻す――その一瞬の切り替えだけを武器に、ハルは迷宮の底でも、理不尽な人間社会でも、なにくそと足掻き続ける。皮肉屋で口は悪いが、困っている奴を見捨てられない性分だけが、彼の数少ない取り柄だった。
けれど、灰塚の奥で拾った小さな縁と、割に合わない依頼の数々が、いつしか「掴み屋」の名を上書きしていく。
蔑称だったその名が、いつか世界に知れ渡る二つ名になるまで。
手のひらひとつで、這い上がれ
瓦礫の中の泥仕合
2026/07/15 17:44
掴み屋、二束三文
2026/07/15 17:45
半分このパンと胡散臭い話
2026/07/15 17:46
灰塚の忠告
2026/07/15 17:46
寄せ集めの信頼
2026/07/15 17:47
最初の獲物、痺れる右手
2026/07/15 17:48
脈打つ壁
2026/07/15 17:49
効かない掴み
2026/07/15 17:49
置いていく理屈
2026/07/15 17:50
掴み損ねた背中
2026/07/15 17:52
賭けるのは、この命一つ
2026/07/15 17:53
日の光と、歪んだ噂
2026/07/15 17:53
逆さまの評判
2026/07/15 17:54
安酒と割に合わない話
2026/07/15 17:54
大異変の前から
2026/07/15 17:55
前金と、見知った顔
2026/07/15 17:55
灰塚の主
2026/07/15 17:56
壊れる手、賭ける命
2026/07/15 17:56
殺す、と決めた一撃
2026/07/15 17:57
二束三文の勲章
2026/07/15 17:57
水面が動く音
2026/07/15 17:58
顔のない依頼人
2026/07/15 17:59
触れちゃいけねえ筋
2026/07/15 18:00
硬いパンと同じ呼び名
2026/07/15 18:01
一致する数字
2026/07/15 18:01
知らずに担いだ荷
2026/07/15 18:02
私兵の紋
2026/07/15 18:02
壊れる手でいなす
2026/07/15 18:02
名前が一つ出てきただけだ
2026/07/15 18:03
温かい飯と、迷宮より古いもの
2026/07/15 18:03
二つ名を呼ばれた日
2026/07/16 18:33
紋章の家、三日後の聴聞
2026/07/16 18:33
試すような一太刀
2026/07/16 18:34
売るには安すぎる
2026/07/16 18:34
ヴェイン家の名
2026/07/16 18:35
当主のお召し
2026/07/16 18:35
開かれた門
2026/07/16 18:36
当主の値踏み
2026/07/16 18:36
重さを盗む手
2026/07/16 18:36
途中の名前
2026/07/16 18:37
まだ握れない朝
2026/07/16 18:37
傷跡が、生きている
2026/07/16 18:37
錆びた紋章
2026/07/16 18:38
ヴェインより上
2026/07/16 18:38
連れて行く、それだけだ
2026/07/16 18:39
声のする方へ
2026/07/16 18:39
ギルド中央、という名
2026/07/16 18:39
心当たりがある
2026/07/16 18:40
大異変の前から、その口で
2026/07/16 18:40
第50話「結晶の胎が見せた街」
2026/07/16 18:41
垂れ下がる手
2026/07/16 18:41
借りる手、崩れる道
2026/07/16 18:41
借り物の秤
2026/07/16 18:42
動かない手、知られた名
2026/07/16 18:42
(改)
符丁の名
2026/07/16 18:43
揃いすぎた歩幅
2026/07/16 18:44
紋章の下の腕
2026/07/16 18:45
いなかったことにされる名
2026/07/16 18:45
探しているのは、手じゃない
2026/07/16 18:46
迷宮が目を覚ます
2026/07/16 18:46
ようやく、直接話せる
2026/07/16 18:47
どなたのことでしょう
2026/07/16 18:47
最初からいなかった男
2026/07/16 18:48
灰塚そのものだ
2026/07/16 18:48
量るために生まれた手
2026/07/16 18:48
駒だった当主
2026/07/16 18:49
これで最後まで付き合ってやる
2026/07/16 18:49
二人分の秤
2026/07/16 18:50
迷宮の心臓
2026/07/16 18:50
第70話「量られた心臓」
2026/07/16 18:53
第71話「天秤の欠片」
2026/07/16 18:53
第72話「まだ息のある名」
2026/07/16 18:53
第73話「初対面ではない」
2026/07/16 18:54
第74話「まだ消されていない男」
2026/07/16 18:54
量られて消えた人
2026/07/16 18:54
第76話「天秤の痣」
2026/07/16 18:55
第77話「壊れた天秤」
2026/07/16 18:55
第78話「正しい秤」
2026/07/16 18:55
第79話「量り返す手」
2026/07/16 18:56
第80話「二人分の秤、それからの朝」
2026/07/16 18:56