魔女と呼ばれた令嬢

　ギーベル王国の公爵令嬢イーリン・マクスウェルは、王太子アーサー・ギーベルと幼い頃から婚約していた。しかし、アーサーはわがままな子供がそのまま成長したような人物であり、最近になると、男爵令嬢キャサリンに執心し、イーリンにつらく当たっていた。
　父親の公爵はイーリンの苦しみを知り、婚約解消に向けて動き出した。家族に守られ、いったん領地に戻るも、魔女の疑いをかけられ、イーリンは王都に戻らなくてはならなかった。王都に戻ったイーリンを待っていたのは、イーリンとアーサーの婚約をあきらめない国王と、キャサリンの周囲にただよう不思議な香りの話だった。
　そうしているうちに、イーリンはアーサーから魔女と断罪され、投獄される。その中で、イーリンの心を支えていたのは、領地で出会った兄の従者であるファンだった。イーリンに言い渡された処刑は、魔物が住むと言われる『昏き森』への追放であり、そこは、少女が一人で生き延びられる場所ではないと考えられていた。
　周囲がイーリンを助けようと動く中、イーリンを乗せた馬車は処刑地へと向かう。

　前半暗めの展開になりますが、バッドエンドではありません。断罪後は少しファンタジー要素も入り、主人公の恋愛もありつつ、仲間たちの協力を得て敵と対峙していく話となります。お付き合いくだされば嬉しいです。

※中世ヨーロッパをイメージしておりますが、架空の世界でのお話です。貴族の名前は苗字＝領地名で統一しています。