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変な女水滸伝シリーズ

閻婆惜は悪女にならない ――宋江の妻ですが、稟議書をお持ちください――

作者:Cima4910
最新エピソード掲載日:2026/06/14
水滸伝では悪女として名を残す女、閻婆惜。
けれど、その中身は現代日本の大企業で働いていた三十代独身の役員秘書だった。
一流大学卒で美人。
仕事は有能。
収入も悪くない。
条件だけなら勝ち組。
ただし恋人なし、結婚予定なし、男性経験なし。
そして何より、男たちの
「何とかなる」
「話はついている」
「細かいことは後で」
に心底うんざりしていた。
そんな彼女が目を覚ますと、そこは水滸伝の世界。
しかも自分は、あの宋江の妻・閻婆惜になっていた。
義侠心で動く宋江。
策だけは出す呉用。
勢いで突っ込む頭領たち。
台帳のない梁山泊。
責任者不明の作戦。
撤退条件のない戦。
彼女は剣を取らない。
馬にも乗らない。
軍師でも頭領でもない。
ただ、静かに書類を確認する。
「その作戦、どなたが責任を取るのですか?」
「口頭の合意は、合意ではなく記憶です」
「宋江様、判を押す前に条件をご確認ください」
悪女と呼ばれるはずだった女が、稟議書と確認事項で梁山泊を止めていく。
戦わない。
叫ばない。
天下も狙わない。
それでも、水滸伝の運命は少しずつ狂い始める。
宋江は人を集め、梁山泊は大きくなり、彼女の確認事項では止められない流れも生まれていく。
これは、閻婆惜が悪女にならず、ただ真面目に仕事をしただけの物語。
――悪女にはならない。
けれど、烈女になる。
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