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桜渓の孤星

作者:筑紫隼人
最新エピソード掲載日:2026/06/30
桜渓学院高二の春、完璧な転入生・朝比奈蒼が現れた。

誰にでも穏やかで、誰からも好かれる。でも橘咲良だけは気づいていた。あの人の目は、笑っていない瞬間がある、と。

瀬戸川リアには、蒼に覚えのある記憶があった。七年前、父の裏切りを見た日に公園で飴をくれた男の子。失った温度の記憶。その人が、今ここにいる。

再会は、静かに始まった。

蒼はリアを「守る」と言わなかった。ただ隣にいた。ただ、いなくなりそうなものを、消した。

気づいたとき、リアの平穏は死体と破滅の上に築かれていた。

父の失脚。クラスメートの崩壊。ストーカーの廃人化。すべてが「リアのために」だった。

蒼の愛は本物だった。だからこそ、取り返しがつかなかった。

これは、愛した人が怪物になる話ではない。怪物が、愛することで完成する話だ。
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