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ただの野良猫にご飯をあげていただけなのに、災厄の魔獣を従える調停者として畏怖されていました 〜田舎の人は親切だと思っていたら、国を滅ぼす神獣へのご機嫌取りだった件〜

作者:ヒデコ
最終エピソード掲載日:2026/10/18
王都の大手薬舗で10年間、粉薬の調合と理不尽なクレーム処理に追われ続けたマノン(28歳)。
限界を迎えた彼女は貯金を握りしめ、山奥の寂れた平屋を買い取って早期退職・スローライフを始める。

誰にも邪魔されず、丁寧に出汁をとった具だくさんスープを作り、縁側でお茶を飲む至福の毎日。
そんな庭先に迷い込んできたのは、生垣に挟まった大きな白い野良猫(タマ)と、怪我をした目つきの悪い黒猫(クロ)。

「痛かったねぇ。味付け前のお肉と、温かいミルクをどうぞ」

祖母仕込みの優しいご飯とブラッシングで手厚くお世話するマノン。
しかし彼女は知らなかった。
白猫は触れるものを絶対零度で凍らせる古代神獣【フェンリル】であり、黒猫は国境を一晩で更地にした伝説の凶獣【キマイラ】だったのだ。

一方、討伐隊や近隣貴族は玄関先を遠眼鏡で覗き、泡を吹いて卒倒していた。

「国を滅ぼす二大厄災が、あの娘の膝の上で腹を見せてヘソ天している……!?」
「機嫌を損ねれば領地が消し飛ぶぞ! 調停者様に最高級の肉とシーツを納品しろ!」

翌朝から、玄関前にはなぜか置かれていく極上食材や日用品の山。

「まあ、田舎の人は照れ屋で親切だわ」

周囲が命がけで貢いでくるとも知らず、マノンは今日もモフモフたちとお腹いっぱいのスローライフを満喫する――。
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