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満州に咲いた命

作者:月羽めい
最終エピソード掲載日:2026/07/08
冬の満州は、息をするだけで肺が痛くなるほど寒かった。

水上清子は、両親が営む小さな食堂の手伝いをしていた。開拓民たちが毎日のように訪れ、「今日もありがとう」と笑顔で帰っていく。決して裕福ではなかったが、家族で囲む食卓には笑い声があった。

しかし、その日々は長く続かなかった。

戦争が激しくなるにつれ、食堂を訪れる人は減り、街には銃声が響くようになる。

そしてある日――。

両親は混乱の中で命を落とした。

まだ幼かった清子だけが、中国の地に取り残された。

「今日から、お前は中国人として生きるんだ。」

そう教えられ、日本人であることを口にすることさえ許されない人生が始まった。

本当の名前も、故郷も、家族も。
成長した清子は、中国で郵便局に勤める王邑黄と出会う。

彼は豪快で働き者だったが、酒を飲むと人が変わる男だった。

それでも、互いに支え合い結婚し、新しい家族を築いていく。

しかし生活は貧しかった。

病院へ行く金などない。

子どもたちは全員、薄暗い納屋で産声をあげた。

医者も助産師もいない。

清子は一人で歯を食いしばり、自分の力だけで四人の子どもを産み落とした。

「この子だけは、生きて。」

ただ、その願いだけだった。
第一部 戦争
第四章 逃避行
2026/07/07 19:39
第二部 異国で生きる
第十二章 新しい命
2026/07/07 21:14
第十三章 静香の運命
2026/07/07 21:22
第三部 文化大革命
第四部 それぞれの人生
第三部 故郷での再出発
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