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婚約者に店を売られたので、従業員全員と向かいに新しい店を開きます

作者:渋谷 爽月
最終エピソード掲載日:2026/11/01
「この店、売ったから」

母の菓子店を六年間守ってきたリゼットに、婚約者はそう告げた。
父の同意で売られたのは、建物と店の名前。新しい店主は、母のレシピも職人たちも、当然ついてくると思っていた。

ところが、従業員全員が差し出したのは、退職届だった。

「私たちは、リゼット様に雇われています」

婚約を解消し、向かいの空き店舗で再出発を決めたリゼット。
融資を申し出た若い商会長が尋ねたのは、彼女の財産でも結婚の意思でもなく――

「最初のひと月に、何を売る予定ですか」

完売したのに赤字。向かいの店の半額販売。母のレシピ帳に残された、知らない人の名前。
新しい店の毎日は、甘いことばかりではない。

それでも、若い職人の新作が売れ、常連が戻り、仲間と作った一箱が誰かの喜びになっていく。
そして、彼女の意思を尊重する商会長との間にも、仕事だけではない想いが育ち始める。

我慢することで店を守ってきた令嬢が、仲間とともに、自分の店と人生を選び直す物語。

菓子作りと商売、仲間の成長、対等な恋を描く全50話。ハッピーエンドです。
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