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社畜整備士、廃棄宙域で全長二十キロの変形する家を拾う

作者:
最新エピソード掲載日:2026/06/27
労働はクソである。

ブラック造船会社で使い潰されていた整備士、カイ・ミナトは、ある日とうとう仕事を辞めた。

金なし。家なし。再就職先なし。
それでも彼には、ひとつだけやりたいことがあった。

母からもらった地球産トマトの種を植えて、風呂に入り、まともな飯を食って、静かに暮らすこと。

そんなカイが廃棄宙域で見つけたのは、百年以上放置されていた旧式移民艦《アーク・ノア》。

推定全長、二十・二キロメートル。

壊れた空調を直しただけのはずが、艦載AIノアにより、なぜかカイは暫定管理人として登録されてしまう。

艦内には、壊れた浴場がある。
止まった食堂がある。
眠った農業区がある。
直せば、風呂に入れる。飯が食える。トマトが育つ。

だったら直すしかない。

しかし、ようやく手に入れた畑予定地を、海賊が撃った。

カイは静かに言った。

「そこ、俺の畑になる予定なんですけど」

そして、全長二十キロの“家”が立ち上がる。

これは、英雄になりたいわけでも、銀河を救いたいわけでもない元社畜整備士が、
風呂と飯と畑を守るために、変形する巨大移民艦を直していく物語。

労働はクソである。
でも、自分の家を直す仕事だけは、少しだけ悪くない。
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