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異世界幽霊聞き書き帳――死者の声が聞こえる俺は、成仏できない亡霊たちを取材する

作者:たむ
最新エピソード掲載日:2026/09/17
王国の片隅で暮らす青年、レイン・アスターには、幼い頃から他人には見えないものが見えていた。

誰もいない墓地で話し続ける老人。

焼け落ちた屋敷の窓から、毎晩外を眺めている少女。

古戦場で、終わったはずの号令を繰り返す騎士たち。

それらは魔物でも、精霊でもない。

死んだ後もこの世界に残り続ける、幽霊だった。

この世界では、死者の魂は女神のもとへ還ると信じられている。幽霊の存在を口にすることは、神殿の教えに反する不吉な行為とされていた。

そのためレインは、自分の力を隠して生きてきた。

しかし、故郷の共同墓地で起きた怪事件をきっかけに、彼は一人の少女の幽霊と出会う。

少女は、自分の名前も、死んだ理由も覚えていなかった。

ただ一つ、彼女は毎晩、遠くから聞こえてくるという。

この世界の誰も鳴らしていないはずの、鐘の音を。

同じ頃、王国各地で幽霊の目撃が急増していた。

死んだことに気づかず働き続ける職人。

百年前の約束を守り続ける兵士。

自分を殺した犯人を、別人だと思い込んでいる貴族。

廃村に独自の社会を築き、生者を拒絶する亡霊たち。

レインは、幽霊を退治するのではなく、彼らの言葉を書き残すことを選ぶ。

死者一人ひとりに質問し、食い違う証言を照合し、残された記録や遺品を調べ、怪異の裏に隠された真相を明らかにしていく。

やがて彼は、幽霊が単なる「成仏できない死者」ではないことに気づく。

幽霊には幽霊の暮らしがある。

人間関係があり、争いがあり、秘密があり、死者だけが知る歴史がある。

そして、すべての幽霊が成仏を望んでいるわけではない。

なぜ死者は、この世界に残るのか。

成仏とは、本当に救いなのか。

神殿は、なぜ幽霊の存在を否定するのか。

存在しない鐘の音は、何を告げているのか。

死者の声を聞く青年は、一冊の聞き書き帳を手に、誰も知らなかった幽霊の謎を追い始める。

これは、生者の歴史には残らなかった真実を、死者自身の言葉によって記録する物語。

そして、一人の青年が世界で最初の「亡霊聞き書き人」となるまでの物語である。
第一部 第一章 墓守の息子と、名前のない少女
第一部 第二章 壁の中で笑う女
第一部 第三章 神官は幽霊を信じない
第一部 第四章 働き続ける死者たち
第一部 第五章 死者だけが住む村
第一部 第六章 古戦場で続く裁判
第一部 第七章 幽霊のいない屋敷
第一部 第八章 教会が消した十三人
第一部 第九章 王都亡霊夜行
第一部 第十章 十四人目の聞き書き人
第二部 第1章 七人の夫が帰る港
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