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コワモテ無双

作者:琥珀 大和
イケメンすぎる冒険者、マックスは感嘆した。

目の前にいる男は漢だと。

厳しい面構えに剣呑な雰囲気、そして独特なオーラは他者を寄せつけない。

これぞ冒険者らしい姿ではないだろうか。

周囲の同業者たちも彼には一目置いているのか、目線すら合わせようとしない。

チラ見してたまたま目が合った奴など、すぐに視線をそらして脂汗をかいている。

ここは冒険者が集う飲み屋だ。

自由な発言を許され、今日の成果に一喜一憂する者たちが騒ぎたてる一種の無法地帯。

それがひとりの漢の出現で、一瞬で墓場のような静けさとなったのだ。

ああ、あの殺伐とした重苦しい風格。

爬虫類を思わせる細い目からの視線は、まるで死を振りまくような冷たさを感じる。

それに比べて自分はどうだろうか。

冒険者としては努力を重ねてそれなりの実力があるはずだ。

知識や理論もそれなりに武装してきた。

しかし、この面構えのせいで、冒険者としては一流になりきれないジレンマが続いている。



元パーティーメンバーはこう言った。

「おまえのせいでパーティーは崩壊した!女性メンバーの全員に手を出しやがって!!」

知るか。

女性メンバーに手を出した覚えはないぞ。勝手に俺のことを取り合い始めただけだ。俺にパーティークラッシャーのレッテルを貼るんじゃない!



別のある時、領主の妻である貴婦人はこう言った。

「私の愛人になりなさい。」

いやいや、あなたのご主人に殺されちゃうからやめてください。いや、マジでやめろよ、俺の股間に触れるんじゃない!



またある時には、黒光りしたマッチョマンが興奮を隠さずにこう言った。

「俺にケツを向けろ。」

いやじゃボケ。

頼むから死んでくれ。



絶世のイケメンと言われ続けてきた。

中にはエルフ並の美貌だと褒めたたえてくれる者もいる。

しかし、それが良いことかどうかは人によるだろう。少なからず、俺にとっては辛い日々を送ることになった。

そして今日、暗鬱とした日々を抜け出す手がかりを得たのである。

そうだ、あの人のようにコワモテになればいい。

俺もあんな漢になることで、これまでのような問題はすべて解決だ。

それがいい。

よし、そうしよう。





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