イケメンすぎる冒険者、襲撃される③
「人を小馬鹿にするのも大概にしろ。」
今日の俺はついていない。
いや、今日のではなく、今日もか。
「俺が呼ばれていると思わなかった。」
確かに無視されたら腹立たしいだろうが、知らない相手なら仕方がないだろう。
しかも、気難しいといわれているエルフだ。
無視されたら剣を首筋に突きつける奴は初めて会うが、俺の中のエルフのイメージとはそれほど違わない。本当に、どれだけプライドが高いんだ。そんなことをする奴は頭の悪い冒険者か、貴族のボンボンくらいかと思っていたぞ。
「ここにはおまえしかいない。」
「強盗か?誇り高い種族もいろいろだな。」
「その首、速攻で落としてやろうか?」
さっきと同じように吸血鬼の真似事をして脅せるとは思わなかった。
そんなことをすれば本当に首を落とされるだろう。
「目的を言え。」
「先ほどのあれは何だ?」
「アレとは?」
アレとかナニとか、あんたもスキだねぇなんて言ったら間違いなく首がトプよな。
「吸血鬼の真似事だ。」
ああ・・・もしかして、あの時に襲って来たのはコイツか。途中で消えたのは、俺が回復魔法を使ったからだろう。
吸血鬼は闇の眷属だ。
光属性の回復魔法なんか使えるわけがない。
それと、エルフと吸血鬼とは、過去に何度も敵対していると聞いたことがある。
エルフがかつての大精霊の末裔というのは有名な話だ。対して、吸血鬼は闇の精霊たちを無理矢理傘下に入れて、その大精霊たちと戦争を起こしたといわれている。
古代の神話のため史実かどうかはわからないが、彼女の様子を見ると何らかの遺恨はあるのかもしれない。
「別に真似をしていたわけじゃない。俺の顔はいろいろとトラブルの元になるからな。コワモテで対処しようとしただけだ。」
「は?」
まあ、確かに「は?」だろうな。
普通に聞いていたら意味がわからないと思う。
「ちょっとこっちを向け。」
その言葉と同時に首筋にあてがわれていた剣がどけられた。
「わかった。」
俺は両手をゆっくりとあげて、抵抗の意思がないことを示しながら振り返る。
「つっ!?」
エルフは俺に向けて眩しい光を発してきた。
術式が読めなかったので精霊魔法によるものだろう。
「おまえ・・・ハーフエルフか?」
「いや、違う。」
「ふーん、確かに人間からしたら美形だろうな。我々と顔の造りが似ている。」
そうっすよ。エルフも認めるイケメンなんすよって、うれしくないけどね。
「それが災いして、いろいろと苦労してる。」
「顔で苦労?」
ああ、エルフにもわからないか。
そりゃ、種族みんなが美男美女揃いなら、それが当たり前だしな。
「わかるっ!」
「へっ?」
「人間って、気持ち悪いくらい私たちのことをジロジロ見るんだよね。珍しいとか、奇異の目で見られるのはレア種族だからわかるんだけど、男連中なんか下心剥き出しで目血走らせてるし。逆にそうじゃない奴は劣等感の塊だったり?とにかく、あの変な容姿信仰的な態度かずっと気に入らなかったのよ。あんたもエルフじゃないかもしれないけれど、それと似たような扱いを受けてきたんじゃないの?耳さえ長ければ私らと変わらないし、肌もキレイだし、髪もツヤツヤじゃん。」
彼女は急に俺の両肩を掴み、二十センチくらいの距離まで顔を近づけて捲し立てだした。




