イケメンすぎる冒険者、襲撃される④
「あ、そうだすな。」
「だすな?」
「あ、いや、近すぎてテンパった。」
初めてまともに彼女の顔を見たが、やはりエルフの例に漏れず綺麗な顔立ちをしている。
それに吐息がハッカのような香りをしており、ついイケナイ気持ちになりそうだった。
いや、だって薄暗いのに唇がプルンプルンしてるんだぞ。潤って艶やかだから、惹き寄せられそうになるのも無理はないだろう。
「近・・・ああ、すまない。つい同胞意識のようなものを持ってしまった。その、本当にエルフの血は混じっていないのか?」
「たぶんな。少なくとも両親は違う。」
「ふむ。ということは、祖父母やそれより前がバイレイシャルだったかもしれないということだな。」
バイレイシャルというのは異なる種族から生まれた子のことをいう。
「可能性はあるかもしれないな。」
「両親の容姿は若々しいのではないか?」
「既に他界してる。共に二十代の頃だったから長命かどうかはわからない。祖父母についても記憶にない。」
エルフやハーフエルフは人間より長命で、外見も老けにくいのが特徴だった。
「そうか。不躾なことを聞いた。」
いきなり襲撃されたが、それは俺が吸血鬼と勘違いされるようなことをしていたからだろう。
「いや、こちらこそ誤解を招くような真似をしてすまなかった。」
礼には礼で返す。
粗野な者が多い冒険者の業界でも、そういったことを大事にする者はいる。
それが信頼につながったりもするのだが、こと俺に関しては胡散臭い奴に思われたりすることが多かった。
特に若い駆け出しの女性冒険者が相手だと、良くも悪くも勘違いされることが多いため、あまり近づかないようにしている。
「ところで、先ほどの変装は魔道具によるものか?」
「そうだ。知り合いにもらった。」
「その知り合いとは、もしかしてマイク・バルカンのことか?」
「知り合いなのか?」
「たまに臨時パーティを組む。その魔道具を発掘したダンジョンでも一緒だった。」
ああ、そういうことね。
「もしかして、今回もパートナーとして呼ばれたのか?」
「ああ、そっちもか?」
「そうだ。マックスという。よろしくな。」
「アリエルだ。こちらこそよろしく。」
エルフは気位が高い、気難しいとされている。
しかし、同胞意識の強い種族のため他種族でも親近感を持ったり、行動原理が似通っていると認めたら一気に距離が縮まることがあるとも聞く。
かなりレアなケースらしいが、今の状況がそうなのかもしれない。ただ、そう感じても実は勘違いだという場合もあるため、安易に踏み込みすぎない方が無難だろう。
「また明日に顔合わせがあると聞いている。今晩はもう遅いから、これで失礼する。」
そう言って、その場を離れた。
アリエルも「ああ、またな。」と返答してきたので、軽く手をあげて答えておく。
いろいろとあり過ぎた。
息抜きに酒を飲みに行って冒険者にからまれ、エルフから襲撃される。
まあ、俺の人生はいつもこんなものだ。
一人飲みを再開しようかと思い、再び酒場へと向かった。
今度は何事も起こらないようにと、あまり冒険者や野郎どもが来ないオシャレな店へと入る。
席についてオーダーしようとすると、聞き覚えのある声がした。
「プリンアラモード エクセプシオネルマン グラン プラを追加で!」
またおまえか、マイク・バルカン。
エクセプシオネルマン グラン プラとは特盛のことだ。
てか、そんなメニューがあるとは驚きだが、もしかしてスイーツの食べれる店を探し歩いていたのか。
本当に、たまにはひとりにさせてもらえないだろうか。




