イケメンすぎる冒険者、依頼内容をようやく知る①
「あらためて、アリエルだ。よろしく。」
翌日、マイク・バルカンに連れられて顔合わせを行った。
「なんだ、ふたりとも知り合いなのか?」
「いや、昨夜たまたま知り合った。」
「たまたま・・・そうか、たまたまか。」
「マイク、くだらない下ネタを言ったら殴るぞ。」
今のやりとりを聞いている限り、マイク・バルカンとアリエルは冗談を言い合えるほど仲が良いようだ。
いや、アリエルが冷めた目でマイクを見ているな。
冒険者としては認めているが、人としては微妙なのかもしれない。
「ちょっとした和ませるためのジョークだ。」
「おまえの顔でジョークを言っても、本気にしか聞こえんからやめろ。」
・・・だそうだ。
「ああ、そういえばマックス。アリエルはヴァンパイアハンターも兼務しているからな。あの魔道具は使わない方がいいぞ。」
「・・・わかった。」
「・・・・・・・・・・・・」
もっと早くに言え。
この街で顔合わせをするのは決まっていたのだから、事後にリークされても意味がない。下手をすれば首から上がなくなっていたんだぞ。
「三人でパーティを組むという認識でいいのか?」
気を取り直して、依頼のことについて話すことにした。
俺は未だにどんな依頼か聞かされていない。
Sランクのマイク・バルカンと相当な剣の腕前を持つアリエルで、ダンジョンアタックでも行うのだろうと思っていた。
しかし、どこのダンジョンに行くかにもよるが、三人というのは少ない気がする。
各々の特性を考えれば、中遠距離攻撃の使い手や支援に特化したメンバーも必要だろうと思えた。
「基本的には三人だ。」
「基本的には?」
「状況によっては追加でサポートを依頼する。」
んん?
ダンジョンだと、一度潜ると早々に出てこられるものじゃない。途中でサポートを依頼するとなると、既にある程度の階層が攻略されたダンジョンということだろうか。
ダンジョンも様々だ。
数層しかない浅いものもあれば、100層を超すような深層ダンジョンも発見されている。
そういった深層ダンジョンは、冒険者ギルドや国が一定の階層ごとに帰還用魔法陣を備えている場合が多い。
ダンジョンはいわゆる遺跡である。
過去の遺物や秘宝が眠っており、それらを手にした冒険者は莫大な金や栄誉を得る可能性があった。
ただし、深層ほど強力な魔物が潜んでおり、宝物の在処には極悪非道な罠が仕掛けられていることも多いのである。
冒険者にも何通りかの専門が存在した。
ギルドで日々依頼を受け生活の糧とする者、魔物を専門に狩って討伐報酬や死骸からとれる素材を売って稼ぐ者、ダンジョンで一攫千金を狙う者などである。
マイク・バルカンはどれかを専門にしているわけではなく、Sランクとしての指名依頼を優先順に受けていると聞く。
強大な魔物の討伐であったり、未開地のダンジョン調査など、各地を転々として依頼をこなしているのはそのためである。
依頼主は国や王家や上級貴族、誰もが知る商会の会頭など、いわゆるひと握りの支配層だ。
Sランク冒険者ともなると、破格の報酬に超難度の依頼というのが定番である。ただ、自由が著しく阻害されるというわけでもないらしい。
前述の支配層があまりに身勝手に依頼を出し続ければ、多忙を極めるのは想像に難くない。過去には人間らしい生活ができない、精神的に追い詰められたとして、Sランク冒険者のボイコットや反逆が後を絶たなかったという歴史がある。
その時に国が滅びかけたり、上級貴族の一門が全員この世から姿を消すなどの事件が起こったため、現在ではSランク冒険者に特別な位を授けられることとなった。
すなわち、Sランク冒険者の依頼の承諾や拒否に関する権利を認めることが決定。さらに依頼主が権力による威圧や強要などを行った場合、冒険者特別法に則って冒険者ギルド本部が制裁を与える旨が公示された。
これはどこの国にも属さない冒険者ギルドだからこそ、実現できた制度だといえる。




