イケメンすぎる冒険者、ようやく依頼内容を知る②
「討伐、探索系の依頼じゃないのか?」
「ああ、違う。ある意味でもっと難易度が高い。」
マイク・バルカンがいう難易度高めの依頼?
Sランク冒険者には、簡単な依頼など回っていかない。俺たちからすれば、どれも難易度は高めになるのだろうが、彼が言うからには何か他の要素も含まれていそうだ。
「調査系か?」
「そうだ。それもいろいろと制限された中での調査になる。まあ、マックスが参加してくれることになったから、一番難しかった参加要員の人選に関してはクリアできた。」
つまり、どういうことだ?
調査系で俺の技能が必要というのは、ヒントとしては難しい。
俺は別に盗賊系の技術やスキルを持っているわけではなく、遺跡などの知識に明るいわけでもなかった。
「調査は調査でも、人が相手ということか?」
思いついたことをそのまま口にした。
感覚として、ダンジョン絡みではないと思える。
「そうだ。ある場所に潜入してもらう。」
潜入してもらうだって?
マイク・バルカンも一緒なら、言葉的には「潜入する」が正しいはずだ。
「ある場所とは?」
「それはまだ言えん。悪いが、依頼主との取り決めで事前に話せないことになっている。」
「では、別の質問だ。潜入するのはアリエルと俺だけか?」
「いや、アリエルはもともとそこに属している。潜入するのはあんただけだ。」
なんですと?
「ああ、誤解はしないでくれ。俺は訳あって潜入できない。その場所に立ち入るための条件をクリアできないんだ。」
「立ち入るための条件とは?」
「まあ、そのくらいは答えても支障はないだろう。ルックスだ。」
はい?
立ち入るための条件が容姿?
意味がわからない。
「変な風俗店とかじゃないだろうな?」
そう答えて思わずアリエルを見た。
まさかプライドの高いエルフが、そんな所で働いているとは思えなかったのだ。
「そんなわけあるか。」
アリエルは苦笑いしながら俺の頭を軽く叩いてきた。
よく激怒されなかったなと後から思ったが、嫌われてはいないのだろうと勝手に解釈する。
もし嫌われていれば、いきなり斬られてもおかしくはないだろう。エルフとは、それだけ誇り高い種族だ。誤解でも風俗で体を売ってるなどと言われれば、高確率でそうなる。幸いにも、アリエルは冗談と受け取ってくれたようだ。
「身の危険はそれほどないはずだ。気は使うだろうがな。」
え、何それ?
身の危険はなくとも気は使うって、エルフの集落にでも潜入するわけじゃないだろうな。
詳しくは知らないが、ベジタリアンかビーガンしかいない所で食事制限とか嫌だぞ。それに、エルフとの共同生活では、不用意な言葉を吐くと即修羅場になると聞く。エルフをパーティに入れた冒険者たちが依頼中に怒りを買い、後ろから刺されたという事件もあった。
言葉の地雷に気を使い、野菜しか食べられない毎日なんて嫌すぎる。
因みに、ビーガンは肉や魚以外に卵やハチミツ、乳製品などといった動物性食品を一切口にしない完全菜食主義者のことをいう。対して、ベジタリアンは卵や乳製品などの飲食は個人の選択に任せられる。
あ、もしかして、容姿がどうのというのは嘘か?
動物性食品が食べれないとなると、マイク・バルカンの大好きな甘味のほとんどが全滅する。
砂糖はともかく、卵や牛乳がダメとなるとケーキやプリン、クリームなどを食せないのだ。
さりげなくマイク・バルカンを見る。
タイミング悪く目が合った。
「違うぞ。」
・・・コイツ、まさか考えていることがわかるのか!?
「私も同じように思うところだったけれど、あそこは卵とか牛乳は大丈夫だから、たぶん違うわよ。」
アリエルがマイク・バルカンを擁護した。
そうか、卵や牛乳が大丈夫なら違うか。
「疑って悪かった。」
俺はお詫びとして、丸ごとフルーツとクリームチーズホイップのサンドイッチ 溢れホイップクリーム メガ盛りというメニューを注文する。
それを聞き、口の端を引き攣らせたアリエルが印象的だった。




