イケメンすぎる冒険者、ようやく依頼内容を知る③
アリエルとの顔合わせから二日が経過した。
再び馬車で移動し、何もない丘でおろされたので目的地が近いと思える。ただ、この辺りの地理にはあまり詳しくなかったが、広大な森林地帯が続いているはずだ。
ダンジョンがあるわけでもなく、冒険者の懐を潤す素材が出るとも聞かない。そもそも、魔物もあまり出ない代わりに鬱蒼とした木々が生い茂るため、人が住むにも厳しい場所だったはずだ。
当然のことだが、道という道も整備されていないため、馬車で通り抜けるのは厳しい。いや、人の足でこの森を越えることも、余程の物好きでなければ考えないだろう。
危険というよりも、未開地として人の侵入を躊躇わせる何かがある場所だった。
「こっちだ。」
少し先を歩いていたマイク・バルカンが、手振りと言葉で誘導してくる。
もしかすると、この森の中に潜入先があったりするのか?
まさか想像通りエルフの集落というわけではないだろうな。
そんなことを思いながら歩みを進める。
しばらく歩くとすぐに深い森の中といった様子に変化した。
「すまない。」
ふと、後ろを歩くアリエルがそうつぶやく。
振り返ろうとした矢先に首筋に衝撃をくらい、意識が暗転した。
囁くような声が聞こえる。
耳障りの良い、まるで楽器を奏でるような声質がふたつ。
「・・・姉様、姉様。これは本当に人間でしょうか?」
「妹様、妹様。見た目は私たちと同じだけど、騙されてはいけないわ。」
「でも、耳以外は同胞といわれてもわからないですよ。」
「確かにそうね。でも、同胞ならお腹がこんな風に別れてはいないわ。これはいわゆるシックスパックというやつね。」
「ああ、6つに分かれているからそういうのですね。しかし、キレイな肌をしてますわ。」
「そうね。同胞の少し青っちろい肌よりも健康的ね。もう少し褐色ならダークエルフでも通りそうだけど、なんだかイケナイ感情が湧いてきそうだわ。」
「姉様、姉様。ダメです。おさわりは禁止ですよ。人間に卑猥なことをしたとして、女子会で打ち明けなければならなくなります。」
「うう、残念ね。女子会で打ち明けることになったら、この人間はみんなの玩具にされかねないわ。」
「心配するとこソコ!?姉様の貞操観念おかしくね?」
・・・どうやら、ヤバい奴らに拘束されているようだ。
意識は取り戻したが、薄目で様子をうかがうだけで目は開けないようにした。
両手首が縛られ、上から吊るされているのか手首周りが痺れている。
記憶をたどってみるが、俺の意識を奪ったのはアリエルだろう。
なぜこんなことになっているかはわからないが、とりあえず様子を見るしかなさそうだ。
「姉様、姉様。こいつ、なかなか起きないわ。」
「妹様、妹様。ちょうどここにコカトリスの羽があるわ。」
「ああ、脇をくすぐれってことね。」
・・・やめろ。
すぐに肋骨の最下部から嫌な感触がした。
や、やめて・・・
「姉様、姉様。変な顔をしてるわ。」
「妹様、妹様。もっと上を責めてみなさい。」
「やめんかいっ!?」
さすがに耐えれなくなり叫んだ。
「姉様、姉様。やっと起きました。」
「ええ、きっと脇が弱いのよ。」
「何のつもりだ?」
よくわからない状況と、くすぐりに耐えられなくなり説明を求めることにした。
ここで目の前のふたりのペースに惑わされるのはまずい気がする。
「あなたはこれから面接を受けるのよ。」
「面接?」
目の前のふたりは瓜二つの双子だった。
典型的なエルフらしい容貌で、グリーンの瞳と金色の髪が陽の光を反射してこれ以上にない透明感を出している。
唯一、普通のエルフと異なるのは、その長く尖った耳の形だろう。一般的なエルフの耳も尖っているが、長さは人間よりも少し長いくらいだ。それに比べると、双子の耳の先端は頭頂部に近い高さまであった。




