イケメンすぎる冒険者、やらかしの真実②
「勘違いはするな。何のお咎めもないぞ。」
「・・・意図が読めないな。」
確かに、「捕まるぞ」と警告してくれたこともある。
俺の人間不信が、湾曲した物の見方をしてしまったのかもしれない。
ただ、手放しで信頼できるほどの関係を築いているわけではなかった。
「別にあんたを貶めようとする意図はないさ。もし今回のことで捕まるようであれば、身元引受人として迎えに行くつもりでいた。」
「なぜ俺をそんなに評価する?」
「当然だろう。悪い噂しかないが、仕事には誠実だと聞いている。それに昇格審査で対象から弾かれているらしいが、実力では俺と同格だと聞くぞ。」
「それは褒めすぎだ。」
ぶっきらぼうに返したが、正直な気持ちは嬉しかった。
口では何とでも言える。
しかし、それでも現役のSランク冒険者に褒められて嫌な気はしない。
ただし、同格というのは少し異なる。俺とマイク・バルカンでは得意分野が違いすぎるのだ。
「もともと評価されにくい分野だろう。それに人間関係でいろいろとあって、ギルドの幹部からも白い目で見られている。俺も容姿で不遇な目にあったから、全部とは言わないが理解はできるさ。」
「それでも過大評価だと思うがな。」
「あんたの技能が必要だ。残念ながら、俺では代役は務まらん。今回の依頼は俺への指名依頼だが、必要な人材を探して連携することも含まれている。」
なぜソロのマイク・バルカンに指名依頼が出たのかはわからない。
俺が有するのと同等の技能を持つ高ランク冒険者やパーティを選択することもできたはずだ。
ただ、指名依頼というのは依頼内容や相手によって適任者は変わる。連携が期待できる高ランクのパーティや、高い技能を持っている個人だからといって選ばれるとは限らないのだ。
依頼達成率や人間性に対する評判など、指名依頼を出す側の条件はそれぞれに異なる。
今回の場合、マイク・バルカンに人選権が与えられているのだ。しかも、悪評高い俺をパートナーに選ぶことが容認されているとしたら、依頼元から相当な評価を下されていると考えるべきだろう。
彼に対して変な疑いを持った自分を恥ずべきか。
いや、依頼の具体的な内容を知るまでは、楽観視しない方がいい。
マイク・バルカンに限らず、他にもパートナーがいる場合や依頼主によっては、一冒険者を消耗品扱いすることも事例としてよくあることだ。
この男が言葉通り俺を評価してくれていても、別の意思で後に使い捨てにされないとも限らない。冒険者として大成するために焦ると、足もとをすくわれるのはよくあることだといえた。
冒険者など、学のない者か行き場のない者が大半で、そのほとんどが虚栄心を持つ夢想家だと批評する有識者が多い。
それは高確率で事実である。
そして、外から見える以上に妬みや拗ねみが強い世界であり、足の引っ張り合いや成果の奪い合いが常習化しているどうしようもない業界なのだ。
何度もパーティを追い出され、ソロでの活動を余儀なくされた俺にとって、同業者を信じることはそれほど難しいことだった。




