イケメンすぎる冒険者、学園に向かう④
「ふ~ん、それなりの書籍を揃えてくれているんだな。」
自分の研究室となる部屋には大きなデスクと二方の壁面を上まで覆った書棚、そして真ん中には3人がけソファ二脚とテーブルが用意されていた。
出入口の扉の両脇にはキャビネットが置かれ、片側にはティーセット、もう片方には魔道具が三つ置かれている。
魔道具はお湯を沸かすものと水を浄化するもの、そして連絡用の水晶が設置されていた。
連絡用の水晶は事務所などとのやりとり用で、学園の敷地内の各所とつながっているそうだ。
「それらの書籍はこれまでに研究用として集められたものらしい。君の役に立つかはわからないが、新しい専攻コースの蔵書といったところかな。」
専攻コースの蔵書ということは、俺にくれたものじゃないということだ。
要するに、研究室をくれてやるから管理は任せたということだろうか。
「それなりに興味深いものもありそうだ。時間のある時に拝見しよう。」
「他に足りない物があれば言ってくれ。申請は私がしておく。」
そう言われたので、コーヒーがあれば欲しいと言っておいた。それ以外にも何点かの書籍について入手できるなら欲しいとも告げておく。
「コーヒーはどうだろうな。街には売っているようだが、コストが高いから却下されるかもしれない。」
「ダメなら自分で調達するからかまわない。」
エルフはコーヒーはあまり好んで飲まないと聞く。そういった意味で需要が少なく、趣向品として希少で高いのかもしれない。
「わかった。それと助手についてだが、基本的には学生から希望者を募ってもらうことになる。外部からの誘致はダメだ。この街のエルフならかまわないが、その場合は雇用のための費用を自分で出すことになる。」
学園での助手というと、その科目を専攻しながら雑用係を務め、研究を手伝うといったものだ。有償無償については学校によるのだろうが、幸いにもこの学園ではその費用が出るらしい。それにプラスして成績にも加点されるそうだから、生徒側にとってもメリットは大きい。
「その辺りはおいおい考えていくよ。人間が講師だから、募集してもすぐには集まらないだろうしな。」
「君はエルフと人間の関係に猜疑的なのか?」
「そうでもない。ただ、ここにでは人間をほとんど見かけないからな。最初から協力的とは思わない方が、後で落胆がないと思っただけだ。」
実際にエルフは人間を同列では見ていないことが多い。
それに、この地では初めて講義を行う治癒回復術だ。どれくらいの割合で話についてこれるかは未知数でしかない。
手応えを感じて強い興味を抱いてくれるなら、種族の違いなんかよりも探究心や向学心が勝るはずである。ただ、その逆になれば、新設して間なしで閉鎖もありえるのが怖いところでもあった。
まあ、俺がわかりやすく身につきやすい講義をしていけるかにかかっているともいえる。




