イケメンすぎる冒険者、学園に向かう③
「ああ、そうだ。ひとつ聞いておきたい。」
アリエルが先ほどまでのからかうような表情を真顔に戻している。
「何だ?」
「その・・・私にも治癒回復術は修得できるだろうか?」
恥じらうような顔をしている。
「もしかして、魔法が苦手なのか?」
「そうなんだ。精霊の存在は感じるし、魔力が少ないわけでもない。ただ、発動しても効力が低くてな。」
「実用レベルにはほど遠い?」
「ああ。まあ、だからこそ剣術を磨くことになったのだがな・・・」
「安請け合いはできないが、別に問題ないんじゃないかな。」
「それは、可能性はあるということだろうか?」
「そうだな。まだ推測でしかないが、エルフが得意とするのは精霊魔法か属性魔法だ。人間でも精霊魔法を使える者もいれば、属性魔法が得意な者もいる。ただ、そういった者たちは、ほとんど例外なく治癒回復術を苦手としているようだ。」
「同じ魔法でも違うということか?」
「今のところまだ確証はないが、俺はそれが要因だと考えている。属性魔法は水火土風の4つのエレメントが基になっていて、これは万物を構成している元素と同じものだ。精霊魔法も4大種と呼ばれている大精霊の力を付与するもので、こちらも水火土風が根源といわれている。」
「精霊魔法と属性魔法の根源は同じということなのか?」
「そう論じている学者はいる。事実確認はできていないらしいがな。ただ、そう考えると、治癒回復系の魔法を修得しにくいことにも納得がいく。」
「どういうこと?」
「術式が違いすぎるんだ。簡単にいえば、まったく違う言語で構成されているようなものだな。」
「ああ、何となく理解した。というか、わかりやすいな。マイクの人選はなかなかだったようだ。」
「それはどうも。」
「もしかして、古いつきあいなのか?」
「いや、知り合ったばかりだ。」
「甘党仲間か?」
引き気味の顔で言わないでくれ。
「全然違う。」
「実は隠れ辛党とか?」
「まったく違う。」
しゅんとした顔をするなよ。
「ここが君の研究室だ。」
諸々の説明や手続きを終えて案内されたのは、個人に与えられる個室だった。
アリエルは事務室の各担当に引き合わせてくれた上に、学園における諸注意や都度必要となる書類申請など、講師の立場からわかりやすく説明してくれた。
当初の印象ではもっとドライな性格だと感じていたのだが、良い意味でそれは裏切られたように思う。
親身で丁寧な説明は、生徒にも人気があるのだろうなと感じさせられた。
これであの意味不明な辛いもの好きがなければ、完璧超人のひとりといえそうなのにと感じたのは内緒の話である。
「よく素性のわからない俺に、こんな部屋を貸してくれるものだな。」
「それだけ期待されているのだろう。君と面談した後の理事長や福理事長は、ほくほくした顔で『君に決めたっ!』と言っていたそうだぞ。」
『君に決めたっ!』って、どこぞのテイマーがよくいうセリフじゃないか。
あの理事長や副理事長は、まさか俺のことをペットとでも思っているんじゃないだろうな?




