イケメンすぎる冒険者、浮かれてやらかしてしまう②
「キャーっ!」
「うわっ!?く、くるなっ!!」
・・・何かおかしい。
街中では目を逸らされたり、下を向いて歩く者が多く、よしよしコワモテ化計画は順調だと今後の展開にワクワクしていた。
それが街の外に出て、薬草や回復薬系統の原料採集地である森に来てからは様子がおかしい。
すれ違う冒険者が俺の顔を見た瞬間、叫び声をあげて逃げ去るのだ。
街では極端にコワイ顔の人だという反応にすぎなかったのに、これはどういうわけか。
この森で出会うのは冒険者がほとんどだ。
では、冒険者から見た俺はどういった風に映っているのだろう。
・・・わからん。
ふたつの指輪がもたらす効果など、たかがしれている。
大幅に人相が変わったのではなく、単に二対のパーツを可能な範囲でいじっただけだ。
この魔道具は本当に色を選べない。周囲の色に馴染ませる感じで変色するといった効果しかないのである。
それなのにあの反応は・・・もしかすると、過去に俺ともめた奴らがまた変な噂を流したのだろうか?
いや、違うな。
魔道具の効果は大したことがないとはいえ、最大限に印象が変わるようにいろいろと試して今の俺になっている。
パッと見た感じでは別人に映るはずだ。
だったら、なぜ・・・
「いたぞっ!」
「こっちだ!」
急に怒声が聞こえ、複数の冒険者がジリジリと歩み寄ってきた。
んん?
なんだ?
俺を取り囲むように、冒険者たちが立ち位置を変えて行く。
そして、その包囲の輪を縮めるかのような動きをする。
まるで魔物でも追い詰めるような・・・
「め、目が白い・・・」
「やはり、吸血鬼か・・・」
は?
今、何て?
俺は思わず後ろを振り返った。
吸血鬼?
後ろには何人かの冒険者がいるだけだ。
何のことを言っている?
「な、なぜ日中にこんな所にいるんだ?」
「あまり近づくと危険だ!一定の距離を置いて、魔法で攻撃するぞ!!」
え?
ヤバくない?
俺を包囲した冒険者が一斉に魔法の詠唱を始めたんだが。
嫌な汗が背中とこめかみをつたうのがわかった。
ヤバい?
いや、本気でヤバくない!?
俺は無意識に一番気の弱そうな奴を見極め、そちらに向かって走り始めた。
何かわからないが、このままでは討伐されてしまう。
「キェェェェェーッ!」
自分でも理解不能な奇声を発し、両手を広げて急迫する。
「え、あ・・・わああぁぁぁぁぁぁーっ!!!」
俺という超弩級コワモテ(?)が迫り来ることで、気の弱そうな冒険者はパニックに陥った。
両目から涙を溢れさせ、体を反転させた彼が猛ダッシュで逆方向へと逃走する。
やった!
包囲の輪が崩れた!!
「キェェェェェーッ!」
「きゃあああー!」
俺はなぜか奇声を発したまま、その場を走り抜けた。
崩れた包囲の一角にいた女性冒険者たちが、俺の奇声に負けじと悲鳴の大合唱を始める。
何だこれは?
何の冗談だ?
頭の中が混乱しながらも、必死に足を動かす。
しばらくして、我に返った冒険者たちが追跡を始めようとしたが、既に俺との距離は直線で二百メートルはあいていた。
この先にはちょっとした滝がある。
俺は足を緩めずにそちらへと向かい、躊躇わずに滝壷へとダイブした。
景色として見ているのとは違い、飛び降りるとめちゃくちゃ高い。
いや、怖っ!
実際にはわずかな時間なのだろうが、着水までがスローモーションのように感じる。
滝壺・・・だよな?
間違って浅瀬だったら頭ぱっくりいくんじゃないの。
それに、水中で出血したら垂れ流しじゃん。
意識を失ったら、水流にまかせてそのまま死ぬんじゃないの?
短い時間でそんなことを考えていると、頭から水面に突っ込んだ。




