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コワモテ無双   作者: 琥珀 大和


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イケメンすぎる冒険者、浮かれてやらかしてしまう③

川、特に上流域をなめてはいけない。


急流だから危険というのはあたりまえのことだが、その流れは川幅や高低差、迫り出した岩石などの影響で複雑に変化する。


多くの場合、その不規則な水流のせいでパニックを起こし、無駄にあがいて溺れてしまう。


ではどうすればよいのか?


今の俺の場合、滝壺から這い上がれる機会に恵まれず、そのまま急流にのまれてしまった。


ここで慌てると岩肌や流木などで負傷する。だから結論として何もしないことにした。


水面に浮かんだ木の葉のように、脱力して自然の流れに身を任せるのである。


息継ぎはどうした?


ふふふ、そんな余裕はないわ。


要するに無駄な抵抗をしない。


流れが穏やかになる場所まで流されていくか、川幅が極端に狭くなる場所に留まった流木などにぶち当たるか運まかせでいく。


言っておくが、これは経験則による持論だ。真似をするなら自己責任にしてもらいたい。


という訳で、ちょっとした時間だとは思うが、頭部を負傷しないように気を使いながら脱力した。


傍から見れば、死体が川で流されているようなシュールな光景かもしれない。


もしかすると、流されている俺に気づいた冒険者が助けに動いてくれる可能性もある。いや、死体が流れていると思って所持品を奪いに来る可能性もあるのだが、そこは人間を信じたいところだ。


思ったよりも急流が続いたため、時間の経過についてはよくわからなかった。窒息状態から水を飲み込んで溺死しなかったことを思えば、意外に短い時間だったかもしれない。


気がつくと、流れも比較的穏やかな場所へと差し掛かっていた。


ようやく水面から顔を出した俺は、深く息を吸い込んで川端の方へと体の向きを変える。ゆっくりと泳いで河川敷まで這い上がり、砂利の上に突っ伏した。


「・・・はあ、死ぬかと思った。」


冒険者活動をしていると身を危険にさらすことも多い。


しかし、今回のように自然を相手どる場合は、運まかせで生死が決まることも少なくなかった。


いや、何かの勘違いで冒険者に追われて溺死とかないわ。


深くため息を吐く。


顔のせいで野郎冒険者に命を狙われたことは何度もあるが、コワモテでも同じなのか?


一体、なぜ?


強面と書いてコワモテだよな?


度が過ぎると恐怖の対象にはなるかもしれないが、討伐の対象になるのはおかしくないか?


んー、どこか間違えたのだろうか。


砂利の上を歩く音がした。


まさか、また冒険者が追ってきたのか?


いや、いくら何でも早すぎる気がする。


足音はひとりのようだ。


おずおずといった感じで迫って来ていた。


「あ、あの・・・大丈夫ですか?」


ああ、流されている俺をたまたま見かけて、心配して見に来てくれたのか。


このように優しい冒険者もいる。世の中まだまだ捨てたものじゃないな。


「大丈夫です。」


そう言って顔を上げた。


「ギャー!?化け物!!」


その冒険者は、ご丁寧に俺の顔面に蹴りを入れて逃げ去った。


痛い。


そして酷すぎるやろ。


「あ、あっちに化け物がいます!」


「何!?大丈夫か?おい、あっちにいるらしいぞっ!」


「川に流されて力尽きそうな様子だそうだ。今のうちにトドメを刺しに行こう。」


物騒な声が聞こえてきた。


これはまたヤバそうだ。


俺は再び川に入り、下流に向けて泳ぎだした。


何だ、今日は厄日か?


川の水は冷たい。


頭を冷やしてくれるのはいいが、体も心も冷えきってしまいそうだった。




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