イケメンすぎる冒険者、邂逅を果たす②
「よくそれだけ甘い物を食べて太らないものだな。」
「それだけ動く。消耗が普通とは違うのでな。」
まあ、確かにその通りだろう。
体はガチムチムッキーで贅肉など欠片もない。縦横ともにデカイため、他人とは消費する量も桁違いだと思えた。
それと、彼とは初めて言葉を交わすが、顔はお手本通りともいえる強面でも社交的ではあるようだ。
「はいよ、まずはミックスジュースだ。」
マスターがミックスジュースを置くと、マイク・バルカンは美味そうにゴキュゴキュと飲み干した。
メガサイズというのは冒険者が行き交う街では常識的にあるのだが、いわゆる大ジョッキに注がれた飲料である。
大ジョッキといえば一般人の一食分の食事量くらいじゃないのかと思うが、気にしたら負けなのだろう。そもそも冒険者や騎士、傭兵などといった人種は一般人と比較して食べる量が圧倒的に多い。
だからこそ、メガサイズやデラックスサイズといったメニューがそこら中に氾濫しているのである。
「ぷは~、美味い!マスター、おかわりだ。」
カルーアミルクと同じく、凄まじい飲みっぶりだった。
中身がミックスジュースというだけで、俺のコーヒーの風味が削がれてしまう気になるのはなぜだろうか。
視覚効果によるものか、それとも単なるイメージかはわからないが、コーヒーの苦味も酸味も香までもがすべて吹き飛んだ気分になってしまう。
コイツとはあまり食を共にしない方がいいだろうな。
食欲が減退する─いや、消失すると言った方が正しいか。
「ああ、自己紹介がまだだったな。マックスだ。」
流れ的に余計な挨拶は不要だと判断した。
マイク・バルカンが空いている店でわざわざ相席してきたのは、そういうことなのだろう。
「マイク・バルカンだ。先ほどのスイーツは美味かった。馳走になったな。」
やはり気づいていたのか、合法ロリウェイトレスにでも贈り主が誰なのかを確認していたようだ。
「あんたと少し話したいと思ったからな。気難しい相手だと言葉を交わすきっかけが必要だから、下心ありきのプレゼントだよ。」
「なるほどな。店員が萌え萌えキュンキュンとやり出した時には、何の嫌がらせかと思ったものだ。羞恥で危うくキュン死するところだった。」
もしマイク・バルカンが無表情に話していたなら、激怒していると勘違いしたところだ。
まあ、今も獰猛な顔でそんなことを言っているので、知らない者が見たら卒倒するのは間違いないだろうが。
この男は素がコワモテ過ぎて、笑った顔もイカつ過ぎるのである。その顔で『萌えキュン』や『キュン死』のキーワードを出すのは怖すぎるぞ。
「気に入っていただけたなら何よりだ。」
「ふむ、ところでダニーと知り合いだそうだな?」
「ダニーを知っているのか?」
「二度ほど組んだことがある。」
「なるほど。」
先ほどダニーと言葉を交わしたばかりだ。
マイク・バルカンはそれを見ていたのかもしれない。
「質問だ。なぜ俺と関わろうとした?」
「ダニーから何か聞いたから、ここに来たんじゃないのか?」
「本人の口から聞きたい。」
マイク・バルカンは正しい。
ダニーから何を聞いたとしても本人からの言葉で裏づけを取ることで、より正解に近い情報へと置き換わる。
仮にダニーと俺が対立していたり、逆に深い親交があった場合は、どちらも誇張された内容へと変わってしまいやすい。
両者から別々に同じ質問の回答を聞くことは、冒険者として長く活躍する秘訣ともいえるだろう。
「わかった。」
俺はマイク・バルカンと話す機会をうかがった理由について明かすことにした。




