イケメンすぎる冒険者、自らの正体を知る①
「極めて重要なこと?」
当日の講義が終わった後、アリエルに呼び出された。
俺の健康診断の結果に関してなぜアリエルがと思ったのだが、どうやら一番近しい者として依頼されたようだ。
何せ、ここに入るために俺を推薦したのは彼女なのだから。
「君、エルフの血を引いているみたいだぞ。」
「は?」
初めて聞いた。
いや、両親のどちらかがエルフというわけではなかったし、何代か前なら知らなくて当然か。親族などとも面識はなかったから、身内にエルフがいたかどうかなんてわかるはずがなかった。
「健康診断では、精霊石を使って身体に異常がないか調べられたと思う。あれで詳しい病状などがわかるわけではないけど、特定の異常については反応を示すんだ。」
「それって、今さらわかったのか?」
「詳しい話をすると、精霊石は何の異常も示さなかった。」
「示さなかったのにどうしてわかったんだ?」
「簡単な話さ。健常なエルフには異常を示さないが、人間にはどのような状態でも異常を示すことが最近になってわかった。」
病気を患ったエルフと人間には反応するということなのか。
「人間ならみんな異常を示すというなら、それで何を調べようとしたんだ?」
「君に何の異常も示さなかった。その後だよ、人間に対して使うと精霊石が誤反応するとわかったのは。」
ああ、ここには人間はほとんどいない。
エルフが病気になった時に診察手段のひとつとして使われる精霊石も、人間に使用する機会に恵まれなかったということだ。
エルフは人間とは起源が異なる。精霊族とも呼ばれ、もともとは木々や植物に宿った魂から生まれたとされる種族なのである。
精霊石もその魂の根源とリンクする何かがあるのだと話を聞いていてわかった。
「なるほどな。それで、俺はどうすればいい?」
深刻な顔をして話されるから何かあるのだろう。
「いや、別に。」
「はい?」
「いちおう、そういった事実がわかったとだけ告げたかっただけだ。」
何じゃそら。
「わかった。」
「普通だな。感慨深いものとかないのか?」
「いや、別に。」
「ふむ、エルフの血が混じっていたことが不満か?」
「いいや。少しは驚いたが、それで何かが変わるわけではないだろう?」
「そうだな。もしかすると人間より寿命は長いかもしれない。あとは、エルフから君に対する態度がもっと軟化するくらいか。」
「混血だと忌み嫌われるということでもないのか?」
「どうだろうな。そういった事例があまりないからわからない。まあ、君は私から見ても歓迎されているようだから心配はないだろう。」
歓迎されているのか。
あまり意識したことはなかったが、だから長期で契約することになったのかもしれない。
「そうか。いろいろとありがとうな。」
「君はこちらに来てから表情が柔らかくなった気がするな。」
「そう思うか?」
「ああ、会った当初はなんとも言えない顔をしていた。世の中に何も期待していないような、冷めた印象を持ったものだ。」
確かにそんな感じだったかもしれない。
だからこそ、何者も寄せつけないコワモテ顔に憧れたのだから。
自分では気づかないうちに、他人とは距離を置きたかったのだとすると納得できる。




