イケメンすぎる冒険者、教鞭を執る⑤
「それは本当なの?」
「嘘をついても仕方ないだろう。」
アリエルにオーラの起源について話してみた。
もともとはどこかの修行僧が精神修養から身につけ、勁力や内功という名で武芸に用いられた能力だ。
それがいつしか、勁力や内功を使いすぎて疲弊した者や、その力の源である体内の部位を損傷した者を治療するようになったことが発端である。
そこから一般人への治療として広まり、一部地域では医学として発展した。
俺がそれを身につけたのはやはり精神修養の一環だったのだが、おそらく才能に恵まれていたのだろう。同じ時期に始めた者よりもいち早くオーラを発動し、それを操るまでに要した期間は少なかった。
「オーラって、武芸にも使えるのね。」
「もともとはそれが発端だ。僧兵─というよりも、武芸を目的とした宗派が東の大陸には多い。その流れがこちらの大陸にも渡り、一部の宗派で似たようなことを始めた。」
「では、君らの世界でいう聖騎士もそれにあたるのか?」
「どちらかというと、聖騎士は光属性魔法の使い手だな。オーラは神殿騎士や修道騎士と呼ばれる者たちが使う。」
「ややこしいのだな。」
「人間は国や地域によって様々な神を信仰するからな。似たようなものも多いが、名称も雑多なものになりやすい。」
エルフは精霊信仰で、神と呼べるのは母なる世界樹だけだそうだ。
「なるほどな。」
「アリエルも冒険者活動をしているなら、人間も地域によって様々だということに気づいているだろう?それだよ。」
「我々は基本的に同じだからな。地域性でいうと、ダークエルフなどと呼ばれている者たちは気性や食文化が異なる。しかし、信仰するものは同じだ。」
そう。
宗教戦争などというものは、人間の間でしかおきない。
人間からすればエルフやドワーフ、獣人などを亜人と呼んでいるが失礼な呼称だと呼ぶ者もいる。
彼らは決して人間の亜種ではない。
皆が皆、始祖が精霊だといわれているのは、あながち間違いではないと思えた。
ただ、だからこそ人間が編み出した力に関しては理解が弱く、知識もあまりないのである。
そして、俺はこの高尚でいて、どこか可愛げのあるエルフたちに好意を持っていた。
大して長い時間を共にしたわけではないが、彼らは俺を特別扱いしなかったのだ。
むしろ、『人間にしては見た目がマシ』程度にしか思われていないため、日常が新鮮で過ごしやすいといえるのである。
これなら、コワモテで無双するという目標も、『もうどうでもいいんじゃね?マイク・ヴァルカンに任せてしまえばいい』といった感じになってきていた。




