イケメンすぎる冒険者、実は岐路に立っていたらしい②
「長老会?」
「人間の国でいう統治機関に近いものだな。」
王政ではないから、国会や議会のようなものか。
そこの調査員のようなものだと解釈した。
もしかすると、エルフの冒険者の大多数はアリエルのような立場なのかもしれない。
まあ、そこはあまり詮索しない方がいいだろう。
「うわっ!?」
「きゃっ!?」
俺の顔を見た奴らが似たような声を発する。
絶句する者もいれば、即座に目をそらす者もいて十人十色だなと思う。
俺はあの指輪を使って眉の色を肌色に、白目をすべて黒目に変化させていた。
マイク・ヴァルカンに報酬の一部としてもらった仮面もあるが、あれは視野が狭くなり過ぎて歩くだけでも危ない。
つまずいてコケるだけではない。
何度か階段から落ちそうにもなり、怖くて封印したのである。
そこで思い当たったのが、眼球をすべて黒目にしたらどうかということだったのだ。
白目だけにすると、吸血鬼と勘違いされて討伐される恐れがある。
それに比べて、全黒目はただのコワモテにしか見えないようだ。
「ふふ、やはりコワモテはいい。この反応はクセになるな。」
バシっ!
「痛っ!?」
「マックスさあ、それ楽しいからってやめてよね。一緒にいる私たちが恥ずかしいんだから。」
一緒に行動しているメリィにツッコまれた。
俺はまだ学園の講師を続けており、長期休暇を利用して冒険者活動も行っている。
メリィやその友人たちは社会勉強のためにとそれに同行し、同じく冒険者登録もしていた。
まあ、簡単にいえばお守役のようなものである。
因みに、今もコワモテの真似をしているのは、趣味のようなものといえた。エルフたちと暮らしていると、外見による偏見や摩擦は起きないため快適なのだ。
だから、コワモテは人が驚く姿が楽しくて、たまに行っている。
ただ、最近はメリィからのツッコミに遠慮がなくなってきた。後頭部を叩くためのハリセンなるものまで用意し、まるでツッコむことを楽しんでいるようだ。
たまに後頭部ではなく、手もとが狂って耳を叩かれる。めちゃくちゃ痛いからやめて欲しいものだ。
まあ、そんな状況ではあるが、俺はこれまでとは違い楽しく過ごせていた。
このままエルフの国に永住しようとも思っている。
今では、依頼のために声をかけてくれたマイク・ヴァルカンに感謝しかない。
人生はいつ帰路に立たされるのかわからないものだ。
まあ、俺の場合は、それでささやかな幸せが掴めたのだからありがたかった。
─Fin─




