イケメンすぎる冒険者とコワモテすぎる冒険者のそれぞれの思惑④
「すまない。」
残念だが、危惧していた展開となった。
マイク・バルカンから追加報酬としてもらう予定のマスクの譲渡が、かなり先になるとのことである。司法機関の讓渡申請を行う際に、譲受人の審議が行われるのが理由だそうだ。
まあ、犯罪に利用されやすい魔道具なだけに、そのあたりは仕方がない。
ただ、俺はマイク・バルカンの人間性をほとんど知らないし、今回の指名依頼を出した者についてもまったくと言っていいほど情報がなかった。
ひょっとすると、だまされているのではないかという気持ちすらある。
「まあ、仕方がないな。」
金銭報酬は約束通りもらう手はずとなっており、追加報酬のマスクについては最悪なかったことと諦めるしかないだろう。
よく考えずに飛びついた俺にも非がないわけではないのだ。
「代わりと言っては何だが、これをやろう。」
マイク・バルカンはそう言って、二つの指輪を渡してきた。
「これは?」
「ごく限られた部位だけだが、体の一部を変色させることができる魔道具だ。」
「何ですとっ!?」
これは・・・俺が白金貨というぼったくり価格を突きつけられた魔道具じゃないかっ!?
マジか?
マジでこれをくれるのかっ!?
いやいや、慌てるな俺。
浅慮で食いついて後悔したのは、ちょっと前の話じゃなかったか。今回はもっと冷静に、落ち着いて対応しなければ。
「こちらは司法機関への届出などはいらない物だ。少し前にダンジョンで見つけたのだが、大した金額にもならないからアイテム袋に放置していた。こんな物で悪いが、審議が終わるまでの代替品として使ってくれ。」
大した価値はないだと?
髪や肌の色を変えたり、瞳の色を変えたりとオシャレ貴婦人には人気じゃないのか?
「聞く限り、それなりの価値はありそうに思えるが?」
「そうでもない。効果範囲がかなり狭いのと、変色できる色が選べないからな。」
「効果範囲が狭いのはともかく、変色できる色が選べないというのはどういうことだ?」
一色しか選べないということか?
「変色させる部位の周辺の色に自動的に染まる。そうだな・・・ホクロやアザを見えにくく、ぼかすような感じか。」
「確かに使用用途は限られるだろうが、それでもそれなりの需要はあるんじゃないのか?」
ホクロやアザをぼかすだけでも人気は出そうな魔道具に思えるが、違うのか?
「言った通りだ。ぼかすという感じで、どうしても同じ色にはならない。逆にその部位を目立たせてしまうようで、美容目的で使っても至近距離で見ると違和感があり過ぎてダメなのだそうだ。」
「具体的な効果範囲は?」
「詳しくはわからないが、10センチメートル四方もあればいい方じゃないか。」
なんじそりゃ?
確かに美容目的にはあまり使えなさそうだ。髪色を変えるにしても効果範囲が狭すぎる。
だが、待てよ。
確かに使える用途は狭いようだが・・・眉毛くらいならいけるか。
ん?
そういえば、周囲の色に同調するように言ってたな。
ならば、アレを試せるんじゃないだろうか。
「ちょっと効果を試してみても良いだろうか?」
「ああ、かまわない。」
俺はウキウキしながら、ふたつの指輪をはめてみた。




