イケメンすぎる冒険者、依頼内容をようやく知る⑦
「血流はあまり強くないな。ただ、神経系統に異常はなさそうだ。」
ボディスキャンの結果を断片的に伝える。
一般的にエルフは線が細い。
筋肉質なのは少数派で、ゴリマッチョは皆無といえた。それ以前に、男性でも人間の細身の女性と同程度の骨の太さ、体型をしている者が多く、血流や筋肉量に関しても同程度だろう。身長に関しては、人間の平均値をやや上回る身体的特徴といったところか。
「つまり、どういうこと?」
「一般的なエルフと同じだということだ。」
「エルフを診察したことがあるの?」
「何度かな。」
同じパーティメンバーにエルフがいた。
こちらは男性だったが、一般的なエルフ体型だったといえよう。魔法が専門で、体力はあまりなかった。
因みに、エルフでも狩猟を専門にしている者は、非常に身体能力が高い。
生まれ育った環境が森深いところだったからか、全身が柔軟で身が軽いのである。また、動体視力も良く、弓の扱いに長けている者が多いのも特徴だったりする。
少数派だが、冒険者になるエルフは、魔法士か狩人を専門にする者ばかりだったイメージだ。
もちろん、街で暮らしているエルフも様々な職業を持ち、それぞれに得意分野は違ったりする。おそらく、生まれ育った環境が大きく影響するのだろう。
「それで、他のエルフと同じだから治療はできないってこと?」
「いいや、根本理由がわかれば対処できる。」
「根本理由って?」
「胃腸が荒れているな。それに、虫歯もあるみたいだ、」
「ど、どうしてそれを・・・」
「俺の技能については調べていたんだろ?」
「それはそうだけれど。」
実際にここまでのものとは思ってもいなかったのか、それともまだそんなわけがないと疑っているのか。
「そうだな、原因は冷たい物の食べ過ぎといったところか。」
「「!?」」
双子がそろってビクッと反応した。
どうやらあたりのようだ。
「氷菓か?」
視線を合わせようとしない姉と、ドギマギする妹。
「答えたくないならかまわない。いちおう、根拠だけ伝えておくと、エルフには冷え性の者が多いと聞く。ただ、君の胃腸の荒れ方は、短い期間で冷たい物を大量摂取した時の症状だと思われる。虫歯については、森で生活するエルフにはあまり見られない。あとは、最近になってこの近くの大きな町を中心に、氷菓が爆発的な人気だと聞いた。それを食べすぎたらから、普段よりも冷え性が悪化したのではないかと推測したんだ。」
氷菓がブームだというのは、マイク・バルカンに教わった。
目の前で山盛りのかき氷なるものをかきこみ、頭がキーンとなって悶える姿が印象的だった。
氷くらいなら魔法でいくらでも作れるだろう。シロップはアリエルのように街を訪れたエルフが買い込めば、こちらでも食べることは可能だ。
今年は特に気温が高くなることが多く、氷菓の需要もさらに伸びているそうだから、可能性は低くはないだろう。
「・・・すごいです。ほぼ正解かと。」
妹の方が呆気にとられた顔でそう答えた。
対する姉の方は、なぜだか悔しそうな顔をしている。
「合格か?」
面談という名目なのだから、合否判定もあるのだろう。
「まだよ。」
姉の方がきっと睨みつけるようにして言った。
「治療もしろと?」
「そうよ。でも、氷菓を食べるのを禁止したら治るというのはダメよ。私たちはそれ以前から冷え性なんだから。」
どうやら簡単には終わらせてくれないらしい。




