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しまい手 ―― わたしが使った魔法は、世界から消える

最新エピソード掲載日:2026/11/02
 錠前の町トゥーリで、金庫室に隠れた子供が二人、出られなくなった。
 ヤナは〈開けの手〉で扉を開けた。その瞬間、町じゅうの錠がいっせいに開いて、二度と閉まらなくなった。

 ヤナは、この世にあるどんな魔法も、修行も詠唱もなしに、一度だけ完璧に使える。
 そして使った魔法は、世界から消える。職人の指は手順を忘れ、教本の文字は意味を失う。誰も、何が消えたのかを覚えていない。
 覚えているのは、ヤナ一人だけだ。

 相棒は十二歳の見習い、トト。名前を知らない術は使えないから、術の名前を運ぶのはこの子の役目だ。
 トトが必死に覚えた術を、ヤナが使って、消していく。

 勝つたびに、世界が少し貧しくなる。
 最強の魔法使いが、魔法を使わずに勝てるようになるまでの物語。
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