神武天皇—45歳から始める東征戦記
最終エピソード掲載日:2026/07/22
聞こえていた。——生まれたときから。
波の音で天気が分かった。
足の裏で道が分かった。
風の向きで、嵐が来ることも。
全部聞こえた。——全部、黙っていた。
末の子だった。四人兄弟の四番目。
兄は声がでかい。次兄は弓がうまい。三番目は何でも面白がる。
俺は——聞こえるだけだ。聞こえたところで何も変わらない。
だから黙っていた。四十五年。
祖父が死んだ。花びらと、歪んだ針と、潮の珠を残して。
妻が死んだ。息子を残して。
四十五歳の秋、浜に老人が現れた。
祖父を海に送った、あの老人が。
「東に美しい国がある。——行くか」
兄が船を出した。俺は船の後ろで波を聞いた。
波の音で天気が分かった。
足の裏で道が分かった。
風の向きで、嵐が来ることも。
全部聞こえた。——全部、黙っていた。
末の子だった。四人兄弟の四番目。
兄は声がでかい。次兄は弓がうまい。三番目は何でも面白がる。
俺は——聞こえるだけだ。聞こえたところで何も変わらない。
だから黙っていた。四十五年。
祖父が死んだ。花びらと、歪んだ針と、潮の珠を残して。
妻が死んだ。息子を残して。
四十五歳の秋、浜に老人が現れた。
祖父を海に送った、あの老人が。
「東に美しい国がある。——行くか」
兄が船を出した。俺は船の後ろで波を聞いた。
第一章 浜の子
2026/07/20 21:47
第二章 祖父の遺品
2026/07/20 22:15
第三章 阿多の海の女
2026/07/20 22:44
第四章 阿多の子
2026/07/20 23:05
第五章 花のように
2026/07/20 23:19
第六章 四十年の浜
2026/07/20 23:31
第七章 塩椎の翁
2026/07/21 00:06
第八章 軍議
2026/07/21 00:22
第九章 美々津 船出
2026/07/21 00:38
第十章 地勢と敵情
2026/07/21 00:55
第十一章 多祁理宮の七年
2026/07/21 01:09
第十二章 高島宮の八年
2026/07/21 01:23
第十三章 速吸門の男
2026/07/21 12:08
第十四章 渦
2026/07/21 12:23
第十五章 白肩の津
2026/07/21 13:02
第十六章 孔舎衛坂
2026/07/21 14:52
第十七章 血沼の海
2026/07/21 15:02
第十八章 雄水門
2026/07/21 15:18
第十九章 南方迂回
2026/07/21 15:37
第二十章 熊野灘
2026/07/21 15:54
第二十一章 荒坂の津
2026/07/21 16:07
第二十二章 布都御魂
2026/07/21 16:39
第二十三章 ヒサメ
2026/07/21 17:00
第二十四章 八咫烏
2026/07/21 17:13
第二十五章 吉野
2026/07/21 17:28
第二十六章 宇陀の調略
2026/07/21 18:47
第二十七章 高倉山
2026/07/21 19:19
第二十八章 大和の地勢と敵情
2026/07/21 19:31
第二十九章 忍坂の宴
2026/07/21 19:47
第三十章 磯城兄弟
2026/07/21 20:43
第三十一章 邇芸速日の使い
2026/07/21 21:10
第三十二章 二人の天孫
2026/07/21 21:19
第三十三章 長髄彦
2026/07/21 21:30
第三十四章 論功と降人
2026/07/21 21:45
第三十五章 畝傍の麓
2026/07/21 21:53
第三十六章 橿原宮——即位
2026/07/21 22:41
第三十七章 戦のない朝
2026/07/21 22:49
第三十八章 七人の乙女
2026/07/21 23:08
第三十九章 丹塗矢の娘
2026/07/21 23:15
第四十章 狭井河のほとり
2026/07/21 23:48
第四十一章 三輪山
2026/07/22 01:24
第四十二章 婚礼
2026/07/22 11:41
第四十三章 子供たち
2026/07/22 11:47
第四十四章 流された子
2026/07/22 11:52
第四十五章 神武
2026/07/22 11:57