ほくそ笑む大悪党 アルバロ・デ・モリーナ
最新エピソード掲載日:2026/04/23
16世紀初頭、新大陸サントドミンゴに若き次男アルバロ・デ・モリーナが到着する。陽気な笑顔の裏に「勝った側だけが正義だ」と信じる冷徹さと、兄の妻イサベルへの秘めた想いを抱えた男である。兄フアンのインヘニオとインディオ村、黒人奴隷たちを託されたアルバロは、暴力ではなく数字と制度を組み替えることで労働と飢えを「料理」していく。死者の数を減らしながら利益を増やし、修道士ラス・カサスにさえ一目置かれる一方、イサベルとの距離は少しずつ危うく縮まっていく。
やがてメキシコでの黄金の噂が届き、アルバロは家族と黒人夫婦ルシアとトマス、弟たちを引き連れてユカタンへ向かう。ポトンチャン上陸戦やタバスコ川での戦いを切り抜ける中で、マヤ語とナワトル語を操る若い妻チャックニクを迎え、彼女を通訳兼参謀として側に置く。スペイン人・黒人兵・先住民が入り交じる奇妙な隊商は、やがて湖上の大都市テノチティトランに招かれ、皇帝モクテスマ二世の「客将」として黒色火薬と大砲を差し出すことになる。
しかしアステカ帝国の西南では、銅の槍を振るうタラスコ王国が国境砦オストゥマを圧迫していた。モクテスマの密命を受けたアルバロは、黒人兵とアステカ兵、数十頭の馬、20門の大砲を率い、バルサス川をさかのぼる苛酷な行軍に挑む。渓谷に砲をつり下ろし、カヌーで川を遡航し、飢えと疲労にあえぎながらも、ついに砦の眼前でタラスコ軍を石弾の雷雨で粉砕し、将軍たちとその妻を人質として手中に収める。
湖の都で得た黄金と西南の戦場で得た人質と牧場地。アルバロはそれらを巧みに組み合わせ、モクテスマとスペイン王権のあいだに自らの立場を穿ち込んでいく。インディオの死者を減らす施策も、兄嫁と現地妻への歪んだ愛情も、すべては「石の王冠」を頭に載せるための計算に過ぎない。新大陸の血と金と信仰を材料に、世界をほくそ笑みながら料理しようとする大悪党の第一幕である。
やがてメキシコでの黄金の噂が届き、アルバロは家族と黒人夫婦ルシアとトマス、弟たちを引き連れてユカタンへ向かう。ポトンチャン上陸戦やタバスコ川での戦いを切り抜ける中で、マヤ語とナワトル語を操る若い妻チャックニクを迎え、彼女を通訳兼参謀として側に置く。スペイン人・黒人兵・先住民が入り交じる奇妙な隊商は、やがて湖上の大都市テノチティトランに招かれ、皇帝モクテスマ二世の「客将」として黒色火薬と大砲を差し出すことになる。
しかしアステカ帝国の西南では、銅の槍を振るうタラスコ王国が国境砦オストゥマを圧迫していた。モクテスマの密命を受けたアルバロは、黒人兵とアステカ兵、数十頭の馬、20門の大砲を率い、バルサス川をさかのぼる苛酷な行軍に挑む。渓谷に砲をつり下ろし、カヌーで川を遡航し、飢えと疲労にあえぎながらも、ついに砦の眼前でタラスコ軍を石弾の雷雨で粉砕し、将軍たちとその妻を人質として手中に収める。
湖の都で得た黄金と西南の戦場で得た人質と牧場地。アルバロはそれらを巧みに組み合わせ、モクテスマとスペイン王権のあいだに自らの立場を穿ち込んでいく。インディオの死者を減らす施策も、兄嫁と現地妻への歪んだ愛情も、すべては「石の王冠」を頭に載せるための計算に過ぎない。新大陸の血と金と信仰を材料に、世界をほくそ笑みながら料理しようとする大悪党の第一幕である。
第12話――「甘い苦み、出帆の前祝い」
2026/03/08 10:00
第13話――「矢の浜、2人の預かり」
2026/03/08 10:07
(改)
第14話――「火縄の赤、谷の泣き声」
2026/03/09 10:00
第15話(前編)――「帆柱の列、火縄の匂い」
2026/03/10 10:00
第15話(後編)――「川口の闇、鐘の音」
2026/03/11 10:00
第16話(前編)――「泥の浜、石灰の白」
2026/03/12 10:00
第16話(後編)――「砂の地図、歌の合図」
2026/03/13 10:00
第17話――「港の骨、砦の息」
2026/03/14 10:00
第18話――「湾の札、港の型」
2026/03/15 10:00
第19話――「北の鐘、浅瀬の口」
2026/03/16 10:00
第20話(前編)――「港の秤、金貨の箱」
2026/03/17 10:00
第20話(後編)――「翡翠の鎖、貴婦人の口」
2026/03/18 10:00
第七章――「黄金海岸の砦、奪われるポルトガルの旗」
第1話(前編)――「運河の灯、翡翠の鎖」
2026/03/19 10:00
第1話(後編)――「祈りの小屋、出帆の塩」
2026/03/20 10:00
第2話(前編)――「塩の筋、鉤の音」
2026/03/21 10:00
第2話(後編)――「月の海、鎖の金属音」
2026/03/22 10:00
第3話――「火縄の煙、サンティアゴ島の夜明け」
2026/03/23 10:00
第4話――「井戸の石、2つの鍵束」
2026/03/24 10:00
第5話――「硝煙の石壁、金粉の革袋」
2026/03/25 10:00
第6話――「門脇の銃声、ルイーザの統治」
2026/03/26 10:00
第7話(前編)――「砦を軽くする朝、帆を裂く砲声」
2026/03/27 10:00
第7話(後編)――「甲板の制圧、金粉の明細」
2026/03/28 10:00
第8話(前編)――「鍵束の受け渡し、サントドミンゴへの船出」
2026/03/29 10:00
第8話(後編)――「鐘の合図、サントメ島襲撃」
2026/03/30 10:00
第9話(前編)――「蒸れる港、3度の水、岬の待ち伏せ」
2026/03/31 10:00
第9話(後編)――「夜明けの接舷、3人の誓い、船尾楼の飯」
2026/04/01 10:00
第10話(前編)――「白砂の港、ソファラの名」
2026/04/02 10:00
第10話(中編)――「砂州の綱、排水溝の穴」
2026/04/03 10:00
第10話(後編)――「門の鎖、金粉の秤」
2026/04/04 10:00
第11話(前編)――「赤土の渋み、石の囲いの夕」
2026/04/05 10:00
第11話(後編)――「黒曜の眼、砦の外の戦い」
2026/04/06 10:00
第12話(前編)――「川石の冷え、金砂の光」
2026/04/07 10:00
第七章第12話(後編)――「裂けた岩、金の筋」
2026/04/08 10:00
第13話(前編)――「土の線、峠と渡しの朝」
2026/04/09 10:00
第13話(後編)――「砲煙の谷、金砂の山」
2026/04/10 10:00
第14話(前編)――「椅子と赤いワイン、3つの谷の公爵」
2026/04/11 10:00
第14話(後編)――「参謀の公爵ニャシャ、ゾンゴンベ攻め」
2026/04/12 10:00
第15話――「側女の誓い、ゾンゴンベの反乱」
2026/04/13 10:00
第16話(前編)――「盟約の盃、金粉の秤」
2026/04/14 10:00
第16話(後編)――「石壁都市カミ、頂の風」
2026/04/15 10:00
第17話(前編)――「潮の継ぎ目、モザンビークから北へ」
2026/04/16 10:00
第17話(後編)――「真水の門、モンバサを折る」
2026/04/17 10:00
第18話(前編)――「乾いた朝の港、オスマンの名」
2026/04/18 10:00
第18話(後編)――「硝煙の夕刻、波音の寝所」
2026/04/19 10:00
第19話(前編)――「帆布の匂い、冬の港に届く封」
2026/04/20 10:00
第19話(後編)――「石の冷え、ナイルの誓い」
2026/04/21 10:00
第20話――「香辛料の港、南へ降りる帆」
2026/04/22 10:00
第21話(前編)――「ルアンダ湾を発つ、ソヨ経由で王都へ」
2026/04/23 10:00