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『最後のページを読んだ人』

作者:こうた
最終エピソード掲載日:2026/09/08
『最後のページを読んだ人』

古書店で偶然見つけた、一冊の古びた本。

表紙には題名も著者名もない。

ただ、最初のページに一行だけ書かれていた。

――「この物語を最後まで読んではいけない。」

34歳の会社員・神谷恒一は、それをただの悪趣味な警告だと思い、本を読み始める。

しかし、数ページ進んだところで違和感に気づく。

本の主人公の名前が、自分と同じなのだ。

さらに読み進めると、昨日自分が会社で交わした会話、帰宅してから食べた夕食、スマートフォンに届いたメッセージまで、まるで誰かが見ていたかのように書かれていた。

そして本には、まだ起きていない出来事が記されていた。

「午後十一時四十七分、彼は窓の外を見る。」

時計は十一時四十六分。

その瞬間、現実が本の文章通りに動き始める。

やがて恒一の周囲から人が一人、また一人と消えていく。

存在したはずの友人。
父親との思い出。
自分自身の過去。

本に書かれたものだけが「現実」となり、書かれていないものは、最初から存在しなかったことになっていく。

恒一は本を閉じ、読むことをやめようとする。

だが――本は勝手に続きを書き始めた。

そこに記されていたのは、恒一自身の死。

そして最後のページには、まだ読んだことのない一文があった。

――「彼は、この物語を読んでいる“誰か”に助けを求める。」

これは呪われた本の物語なのか。

それとも――

今この文章を読んでいるあなた自身も、すでに物語の中にいるのか。

最後のページを読んだとき、物語の「主人公」は誰になるのか。
第4話 白石美月
2026/09/08 12:30
第12話 読者
2026/09/08 17:12
第18話「作者」
2026/09/08 17:17
第20話「三枚の死亡診断書」
2026/09/08 17:19
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