兜町の赤い金 ―大久保利通暗殺の翌朝、手元の公債が「買付済」だった―
最終エピソード掲載日:2026/08/18
明治十一年五月十五日。大久保利通が暗殺された翌朝、東京の魚はいつもより安かった。
西南戦争帰りの相良鉄之助は、亡き戦友の妹・小夜の薬代を作るため、額面百円の金禄公債を兜町へ持ち込む。だが売買はまだ禁じられており、薬はあと三日分しかない。
しかも、現物は鉄之助の懐にあるのに、裏の買付表では三か月前に「買付済み」。借主は、前年に戦死したはずの小宮佐一。借用額は三十円だった。
誰が、死者の名で、まだ売れない公債を集めているのか。
魚河岸の娘・りんと、帳簿を読む辰野志乃。二人とともに受取書、魚荷札、白紙委任状、消された名を追ううち、鉄之助は戦友の死と、自分が戦場で書き換えた名簿へ引き戻されていく。
刀の時代が終わる町で、人の名に値段がつく。
斬れば真実が残るのか。紙へ残せば人を救えるのか。
東京株式取引所が生まれた年を舞台に、死者名義の公債と一枚の受取書を追う、全四十話の明治金融ミステリー。
西南戦争帰りの相良鉄之助は、亡き戦友の妹・小夜の薬代を作るため、額面百円の金禄公債を兜町へ持ち込む。だが売買はまだ禁じられており、薬はあと三日分しかない。
しかも、現物は鉄之助の懐にあるのに、裏の買付表では三か月前に「買付済み」。借主は、前年に戦死したはずの小宮佐一。借用額は三十円だった。
誰が、死者の名で、まだ売れない公債を集めているのか。
魚河岸の娘・りんと、帳簿を読む辰野志乃。二人とともに受取書、魚荷札、白紙委任状、消された名を追ううち、鉄之助は戦友の死と、自分が戦場で書き換えた名簿へ引き戻されていく。
刀の時代が終わる町で、人の名に値段がつく。
斬れば真実が残るのか。紙へ残せば人を救えるのか。
東京株式取引所が生まれた年を舞台に、死者名義の公債と一枚の受取書を追う、全四十話の明治金融ミステリー。
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