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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

時は復讐を忘れない

作者:23
最新エピソード掲載日:2026/08/30
十一歳の黒瀬湊は、兄・颯真の葬式に参列していた。

山ノ宮神社の石段下で発見された兄の死体。
原因不明の心停止。
首筋に残された、黒い線。

誰もが事故として受け入れる中、祖父・宗一郎だけは古びた懐中時計を握りしめ、呟いた。

「……また、間に合わなかった」

宗一郎が時計の文字盤の奥を開いた瞬間、世界は巻き戻る。

次に湊が目を覚ましたとき、死んだはずの兄は生きていた。

しかし、祖父の左腕は失われ、家族の記憶や病院の記録までもが、最初からそうだったかのように書き換えられていた。

生き返った兄は、本当に湊が知っている兄なのか。

なぜ町中の時計は、午後六時四十二分で止まっているのか。

そして、失われたはずの時間から湊へ届いた、自分自身の筆跡による警告。

『兄を止めろ。』

記憶も、記録も、未来から届く言葉さえ信用できない。

それでも湊は、もう一度兄を失わないため、山ノ宮神社の鳥居の向こう側へ足を踏み入れる。

これは、誰かを救うたびに何かが失われる町で、忘れられた死と、選ばれなかった時間をめぐる物語。
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