放課後のふたりごと 〜廃部寸前の放送部で始めた二人だけのラジオが、いつの間にか学校一の人気番組になっていた〜
最終エピソード掲載日:2026/04/22
声が怖い僕らは、放送室で声を取り戻す。
放送室のドアを開けたら、夕日と、椅子が二脚と、静寂があった。
完璧だ。ここなら誰にも邪魔されない。
――そう思ったのは、一日だけの話だった。
翌日。同じドアを開けると、黒髪の少女が座っていた。
音羽澪。五月に転校してきた、教室ではほとんど喋らない女子生徒。
「月に一回、校内放送をすること。それが部の存続条件です」
顧問に突きつけられた条件のもと、俺たち二人はしぶしぶマイクの前に座る。話す内容なんかない。初回の放送は十五分間まるごと音楽だった。
でも、三人だけが聴いてくれていた。
お便りが届いた。週一の定期放送になった。番組名がついた。「放課後のふたりごと」。
不思議なことに、この部屋でだけは声が自然に出る。
防音の壁に守られた六畳の空間で、俺は音羽の声のトーンで感情が読めるようになった。嬉しいとき半音上がること。安心しているとき柔らかくなること。何かに蓋をしているとき、温度が消えること。
そして音羽は、俺の声をずっと聴いていた。
「真白くんの声が好きです。安心するんです」
――声が好き、と言われた。声が。
それ以上の意味は、たぶん、ない。たぶん。
中学時代、声を上げて誰かを傷つけた俺と。
中学時代、声が出なくなって誰かを失望させた彼女。
声が怖かった二人が、放送室で声を取り戻していく。
互いの声に救われながら、名前のつけられない感情が、少しずつ育っていく。
これは、ラジオの話であり。
声の話であり。
たぶん――いや、確実に、恋の話だ。
3月19日全話リメイクしました!一度読んでくれた方ももう一度読んでいただけると嬉しいです!
放送室のドアを開けたら、夕日と、椅子が二脚と、静寂があった。
完璧だ。ここなら誰にも邪魔されない。
――そう思ったのは、一日だけの話だった。
翌日。同じドアを開けると、黒髪の少女が座っていた。
音羽澪。五月に転校してきた、教室ではほとんど喋らない女子生徒。
「月に一回、校内放送をすること。それが部の存続条件です」
顧問に突きつけられた条件のもと、俺たち二人はしぶしぶマイクの前に座る。話す内容なんかない。初回の放送は十五分間まるごと音楽だった。
でも、三人だけが聴いてくれていた。
お便りが届いた。週一の定期放送になった。番組名がついた。「放課後のふたりごと」。
不思議なことに、この部屋でだけは声が自然に出る。
防音の壁に守られた六畳の空間で、俺は音羽の声のトーンで感情が読めるようになった。嬉しいとき半音上がること。安心しているとき柔らかくなること。何かに蓋をしているとき、温度が消えること。
そして音羽は、俺の声をずっと聴いていた。
「真白くんの声が好きです。安心するんです」
――声が好き、と言われた。声が。
それ以上の意味は、たぶん、ない。たぶん。
中学時代、声を上げて誰かを傷つけた俺と。
中学時代、声が出なくなって誰かを失望させた彼女。
声が怖かった二人が、放送室で声を取り戻していく。
互いの声に救われながら、名前のつけられない感情が、少しずつ育っていく。
これは、ラジオの話であり。
声の話であり。
たぶん――いや、確実に、恋の話だ。
3月19日全話リメイクしました!一度読んでくれた方ももう一度読んでいただけると嬉しいです!
放送室の二人
誰もいない部室が欲しかっただけなのに
2026/03/19 02:10
(改)
紙をめくる音が、二つ
2026/03/19 02:23
(改)
昼休みの放送部です
2026/03/19 02:27
(改)
聴いてた人が、いたらしい
2026/03/19 02:29
(改)
沈黙の種類
2026/03/19 02:30
(改)
最初の相槌
2026/03/19 07:10
(改)
名前のないラジオ
2026/03/19 08:10
声で分かること
2026/03/19 09:10
放送室の外で
2026/03/19 10:10
ここでだけは
2026/03/19 11:10
夏希の指摘
2026/03/19 11:40
忘れられない言葉
2026/03/19 12:10
リスナーが増えていく
2026/03/19 12:40
(改)
雨の日の放送室
2026/03/19 13:10
安心する声
2026/03/19 13:40
何もなかったように
2026/03/19 14:10
選曲が被る
2026/03/19 15:10
夏休みの放送室
2026/03/19 15:40
瀬戸颯太の笑顔
2026/03/19 16:10
続けたい
2026/03/19 16:40
(改)
声が届き始める
二学期の声
2026/03/20 16:16
新しい企画
2026/03/20 22:15
校内を歩く
2026/03/20 23:00
ゲスト出演
2026/03/21 00:00
瀬戸颯太の距離感
2026/03/21 01:00
変わらないもの
2026/03/21 10:33
公開放送の話
2026/03/21 15:00
音羽の壁
2026/03/21 20:16
あの日のこと ── 澪
2026/03/22 15:53
あの日のこと ── 陸
2026/03/22 17:09
昨日の続き
2026/03/22 22:02
失敗から学んだこと
2026/03/23 13:30
反響と、冗談
2026/03/23 16:29
夏希と澪
2026/03/23 19:03
花火と、手のひら
2026/03/23 22:34
触れた理由
2026/03/24 13:34
気持ちが分かるの?
2026/03/24 17:04
これは分析じゃない
2026/03/25 16:10
空っぽの放送室
2026/03/26 16:10
踏み出せない理由
2026/03/27 16:10
一歩を踏み出す
逃げない
2026/03/28 16:10
最初の観客
2026/03/29 16:10
五人の前で
2026/03/30 16:10
十人の壁
2026/03/31 16:10
三十人の声
2026/04/01 16:20
俺がいる
2026/04/02 16:20
学園祭前夜
2026/04/03 16:20
開演
2026/04/04 16:20
沈黙
2026/04/05 16:20
ここは放送室だ
2026/04/06 16:20
声が、出た
2026/04/10 16:20
放送室の外側
2026/04/11 16:20
好きな人が、います
2026/04/12 16:20
ちゃんと言えよ
2026/04/13 16:20
やっとか
2026/04/14 16:20
俺自身の言葉で
2026/04/15 16:20
ふたりごと
2026/04/16 16:20
変わったこと、変わらないこと
2026/04/20 21:00
名前の呼び方
2026/04/20 23:00
帰り道が変わった
2026/04/21 01:00
放課後のふたりごと
となりの席
2026/04/21 03:00
聴いてほしい曲、二曲目
2026/04/21 05:00
リスナーからの質問
2026/04/21 07:00
クリスマスの放送
2026/04/21 09:00
冬休みのメッセージ
2026/04/21 11:00
初詣
2026/04/21 13:00
三学期の声
2026/04/21 15:00
音羽澪のソロ
2026/04/21 17:00
片桐からの手紙
2026/04/21 19:00
余計じゃなかった
2026/04/21 21:00
校外公開録音
2026/04/21 23:00
二年目の春
2026/04/22 01:00
ずっと聴いてる
2026/04/22 03:00
先輩としての声
2026/04/22 05:00
放課後は、続く
2026/04/22 07:00