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ベルリンの夜に響く音

作者:沢 一人
最新エピソード掲載日:2026/03/14

1977年2月、ベルリン。
クライネス・シアターという小さなジャズクラブで、三人の音楽家が出会った。
オイゲン・キケロ。ルーマニア出身のピアニスト。
15年前、命がけでベルリンの壁を越えて亡命した。クラシックの技法でジャズを奏でる彼の音楽は、故郷への郷愁に満ちている。
ニールス・ヘニング・ウアステッド・ペデルセン。デンマーク出身のベーシスト。世界最高峰の技術を持ちながら、家族との時間を何よりも大切にする男。
トニー・インザラコ。アメリカ出身のドラマー。二人を繋ぐ、自由なリズム。
三日間だけの録音セッション。
クラシックとジャズが融合し、東と西が音楽で一つになった。
しかし、録音の三日後、1977年3月4日、ルーマニアでヴランチャ地震が発生。キケロの故郷が被災した。
その録音は、ルーマニア支援のためのアルバムとして発売された。
三人は、二度と集まることはなかった。
キケロは1997年、チューリッヒで59歳で逝去。
ニールス・ヘニング・ウアステッド・ペデルセンは2005年、コペンハーゲンで58歳で逝去。
しかし、ベルリンでの三日間の音楽は、今も残っている。
レコードに。
人々の記憶に。
そして、永遠に。
『ベルリンの夜に響く音』
壁を越えた音楽。失われた故郷。そして、永遠の響き。
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