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京都で見つけた千年前の恋文――それを書いたのは、これから私が恋をする関白さまでした

作者:EMo
最新エピソード掲載日:2026/09/09
京都・宇治で見つけた、千年前の文。

――来世にて、今一度、そなたを見つけよう。

その文を書いたのは、これから紗良が恋をする男だった。

水城紗良、三十歳。独身、職業は看護師。

友人のコロナ感染をきっかけに、一人で京都を訪れた紗良は、宇治川の歴史博物館で作者不詳の古い文と出会う。

知らないはずの言葉を見ただけで、なぜか涙が止まらない。

その日の夕暮れ、霧に包まれた宇治川で、聞いたことのない男の声が紗良の名を呼んだ。

次に目を覚ました時、そこは千年前の平安の都だった。

頼れるものは、充電のできないスマートフォンと、看護師として身につけた知識だけ。

病は祟りと恐れられ、治療より先に祈祷が行われる時代。

紗良は水を煮立て、手や器を清め、呼吸や顔色を確かめる。現代では当たり前の方法で人々の命を救う一方、いつしか「異国から来た、不思議な術を使う女」と噂されるようになっていく。

しかも、この都には、医学では説明できないもののけが本当に存在していた。

そんな紗良が出会ったのは、誰もが頭を垂れる都の最高権力者、関白・雅継。

多くを語らず、誰にも弱みを見せない雅継と、身分の違いにも臆せず彼の命を守ろうとする紗良。

「しばし、そこにいよ」

それは、雅継が初めて紗良に求めた、ささやかな願いだった。

文を交わし、離れては互いの姿を捜し、二人は少しずつ心を近づけていく。

しかし、次の満月には、紗良が現代へ戻る道が開くという。

帰れば、もう二度と雅継には会えない。

残れば、家族のいる現代を捨てることになる。

紗良は千年前に残るのか。

それとも、愛する人に別れを告げて現代へ帰るのか。

そして紗良はまだ知らない。

京都で読んだあの文が、二人の恋の結末から生まれることを。

現代の看護師と、心を見せない平安の関白。

少し笑えて、やがて切ない、千年越しの恋物語。

――たとえ貴方が姿を変えても、私はきっと分かるから。
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2026/08/24 17:17
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