京都で見つけた千年前の恋文――それを書いたのは、これから私が恋をする関白さまでした
最終エピソード掲載日:2026/09/25
京都・宇治で見つけた、千年前の文。
――来世にて、今一度、そなたを見つけよう。
その文を書いたのは、これから紗良が恋をする男だった。
水城紗良、三十歳。独身、職業は看護師。
友人のコロナ感染をきっかけに、一人で京都を訪れた紗良は、宇治川の歴史博物館で作者不詳の古い文と出会う。
知らないはずの言葉を見ただけで、なぜか涙が止まらない。
その日の夕暮れ、霧に包まれた宇治川で、聞いたことのない男の声が紗良の名を呼んだ。
次に目を覚ました時、そこは千年前の平安の都だった。
頼れるものは、充電のできないスマートフォンと、看護師として身につけた知識だけ。
病は祟りと恐れられ、治療より先に祈祷が行われる時代。
紗良は水を煮立て、手や器を清め、呼吸や顔色を確かめる。現代では当たり前の方法で人々の命を救う一方、いつしか「異国から来た、不思議な術を使う女」と噂されるようになっていく。
しかも、この都には、医学では説明できないもののけが本当に存在していた。
そんな紗良が出会ったのは、誰もが頭を垂れる都の最高権力者、関白・雅継。
多くを語らず、誰にも弱みを見せない雅継と、身分の違いにも臆せず彼の命を守ろうとする紗良。
「しばし、そこにいよ」
それは、雅継が初めて紗良に求めた、ささやかな願いだった。
文を交わし、離れては互いの姿を捜し、二人は少しずつ心を近づけていく。
しかし、次の満月には、紗良が現代へ戻る道が開くという。
帰れば、もう二度と雅継には会えない。
残れば、家族のいる現代を捨てることになる。
紗良は千年前に残るのか。
それとも、愛する人に別れを告げて現代へ帰るのか。
そして紗良はまだ知らない。
京都で読んだあの文が、二人の恋の結末から生まれることを。
現代の看護師と、心を見せない平安の関白。
少し笑えて、やがて切ない、千年越しの恋物語。
――たとえ貴方が姿を変えても、私はきっと分かるから。
――来世にて、今一度、そなたを見つけよう。
その文を書いたのは、これから紗良が恋をする男だった。
水城紗良、三十歳。独身、職業は看護師。
友人のコロナ感染をきっかけに、一人で京都を訪れた紗良は、宇治川の歴史博物館で作者不詳の古い文と出会う。
知らないはずの言葉を見ただけで、なぜか涙が止まらない。
その日の夕暮れ、霧に包まれた宇治川で、聞いたことのない男の声が紗良の名を呼んだ。
次に目を覚ました時、そこは千年前の平安の都だった。
頼れるものは、充電のできないスマートフォンと、看護師として身につけた知識だけ。
病は祟りと恐れられ、治療より先に祈祷が行われる時代。
紗良は水を煮立て、手や器を清め、呼吸や顔色を確かめる。現代では当たり前の方法で人々の命を救う一方、いつしか「異国から来た、不思議な術を使う女」と噂されるようになっていく。
しかも、この都には、医学では説明できないもののけが本当に存在していた。
そんな紗良が出会ったのは、誰もが頭を垂れる都の最高権力者、関白・雅継。
多くを語らず、誰にも弱みを見せない雅継と、身分の違いにも臆せず彼の命を守ろうとする紗良。
「しばし、そこにいよ」
それは、雅継が初めて紗良に求めた、ささやかな願いだった。
文を交わし、離れては互いの姿を捜し、二人は少しずつ心を近づけていく。
しかし、次の満月には、紗良が現代へ戻る道が開くという。
帰れば、もう二度と雅継には会えない。
残れば、家族のいる現代を捨てることになる。
紗良は千年前に残るのか。
それとも、愛する人に別れを告げて現代へ帰るのか。
そして紗良はまだ知らない。
京都で読んだあの文が、二人の恋の結末から生まれることを。
現代の看護師と、心を見せない平安の関白。
少し笑えて、やがて切ない、千年越しの恋物語。
――たとえ貴方が姿を変えても、私はきっと分かるから。
千年前の恋文
2026/08/24 17:17
(改)
目が覚めたら、そこは平安時代でした
2026/08/24 17:24
(改)
物の怪なんて、いるわけ……いました
2026/08/24 17:32
(改)
月の下の道案内
2026/08/24 18:16
(改)
昨日の道案内の人
2026/08/25 08:00
(改)
看護師、姫付きの女房になる
2026/08/26 08:00
(改)
姫さまの未来は、もう決められている
2026/08/27 08:00
(改)
救えないことを、私は知っている
2026/08/27 20:00
返事のない文
2026/08/28 08:00
届かなくても、返事を
2026/08/28 20:00
最高権力者から文が届きました
2026/08/29 08:00
もう一人の御方
2026/08/29 20:00
三条の御方
2026/08/30 08:00
入内の日が決まりました
2026/08/30 20:00
水面の子守歌
2026/08/31 08:00
御簾の向こうで、待つということ
2026/08/31 20:00
月を追う女房へ
2026/09/01 08:00
宮中では、道に迷うな
2026/09/01 20:00
次を、と彼は命じた
2026/09/02 08:00
平安の都で、最高権力者が倒れました
2026/09/02 20:00
病床の関白を狙う者
2026/09/03 08:00
関白は、まだ目覚めていない
2026/09/03 20:00
しばし、そこにいよ
2026/09/04 08:00
恋文は、一人では書けません
2026/09/04 20:00
手を伸ばせない距離
2026/09/05 08:00
返事のない文
2026/09/05 20:00
帝の弟宮のもとへ
2026/09/06 08:00
治せるとは申しません
2026/09/06 20:00
三日で戻るはずだった女
2026/09/07 08:00
病人ではない時間
2026/09/07 20:00
開かれた文
2026/09/08 08:00
次の満月
2026/09/08 20:00
宴へ出る条件
2026/09/09 08:00
満月の前に
2026/09/09 20:00
戻るがよい
2026/09/10 08:00
帰る支度
2026/09/10 20:00
檜扇(ひおうぎ)の向こう
2026/09/11 08:00
宇治の池
2026/09/11 20:00
帰る道、残る道
2026/09/12 08:00
満月の宴
2026/09/12 20:00
帰したくはない
2026/09/13 08:00
残ると決めた夜
2026/09/13 20:00
光の消えたあと
2026/09/14 08:00
目覚めた場所
2026/09/14 20:00
戻ってきた檜扇
2026/09/15 08:00
池を見ていた者
2026/09/15 20:00
紗良に隠した文
2026/09/16 08:00
池に映った春
2026/09/16 20:00
三条の方に届いた文
2026/09/17 08:00
二通の文
2026/09/17 20:00
傷が癒えても
2026/09/18 08:00
お帰りなさいませ
2026/09/18 20:00
関白ではなく、雅継として
2026/09/19 08:00
恋の仕方を忘れていた
2026/09/19 20:00
始まりを失えば
2026/09/20 08:00
遠くへ行く顔
2026/09/20 20:00
「返して」と泣いた女が、手放したもの
2026/09/21 08:00
あなたと見るはずだった、吉野の桜
2026/09/21 20:00
私が、そなたを送る
2026/09/22 08:00
この身が、私一人のものであったなら
2026/09/22 20:00
行け、紗良
2026/09/23 08:00
来世にて、今一度
2026/09/23 20:00
忘れていくもの、残るもの
2026/09/24 08:00
ようやく見つけた
2026/09/24 20:00
エピローグ あなたと見る、吉野の桜
2026/09/25 08:00