離縁されたので、焼き菓子の店をはじめました
最終エピソード掲載日:2026/08/22
三年間、旦那様に「口に合わない」と言われ続けました。ですので、離縁状をいただいたその日に、厨房を出ました。
街道沿いの宿場町で、小さな焼き菓子の店を開きます。持ち出したのは帳面が一冊だけ。婚家で三年、誰が何を食べられないかを書き留めただけの、誰も見向きもしなかった記録です。
卵が駄目な子。祈りの月に獣のものを断つ人。甘いものが、苦くしか感じられなくなった老人。——わたくしは帳面を開いて、その方が召し上がれるものを、一つだけお出しします。
けれど、その帳面を手放した伯爵家では、その日から誰も食卓を囲めなくなっていったそうです。
わたくしは何も申しません。ただ、焼くだけです。
▼ 怒鳴らない主人公が、静かに一手ずつ勝っていく後味が好きな方へ。恋愛はゆっくりです。
街道沿いの宿場町で、小さな焼き菓子の店を開きます。持ち出したのは帳面が一冊だけ。婚家で三年、誰が何を食べられないかを書き留めただけの、誰も見向きもしなかった記録です。
卵が駄目な子。祈りの月に獣のものを断つ人。甘いものが、苦くしか感じられなくなった老人。——わたくしは帳面を開いて、その方が召し上がれるものを、一つだけお出しします。
けれど、その帳面を手放した伯爵家では、その日から誰も食卓を囲めなくなっていったそうです。
わたくしは何も申しません。ただ、焼くだけです。
▼ 怒鳴らない主人公が、静かに一手ずつ勝っていく後味が好きな方へ。恋愛はゆっくりです。
第1話:離縁状と、戸棚の蜂蜜
2026/07/30 17:00
第2話:食べられないものを、お書きください
2026/07/30 18:00
第3話:鍋を、見せていただけますか
2026/07/30 19:00
第4話:旦那様が、召し上がらない
2026/07/30 20:00
第5話:この店、潰れますよ
2026/07/30 21:00
第6話:妹は、舌が鋭いのだそうです
2026/07/30 22:00
第7話:看板が、埋まった日
2026/07/30 23:00
第8話:屋敷は、誰が回していたのか
2026/07/31 18:00
第9話:屋敷に、写しはございますか
2026/08/01 18:00
第10話:晩餐会で、誰も皿に手をつけなかった
2026/08/02 18:00
第11話:粉屋の荷が、止まりました
2026/08/03 18:00
第12話:粉を止めたのは、どなたでしょう
2026/08/04 18:00
第13話:食べられない客のための菓子は、菓子ではない
2026/08/05 18:00
第14話:帳面を見せてくださいませんか
2026/08/06 18:00
第15話:読めないから、形で写しました
2026/08/07 18:00
第16話:その薬を飲んでから、でございますか
2026/08/08 18:00
第17話:王宮の菓子職人が、なぜ街道にいるのか
2026/08/09 18:00
第18話:甘いものが、こわい
2026/08/10 18:00
第19話:三年、言えませんでした
2026/08/11 18:00
第20話:新しい奥様
2026/08/12 18:00
第21話:街道の宿に、客が一人
2026/08/13 18:00
第22話:どちらが、分かるのか
2026/08/14 18:00
第23話:品評会で、行列が一つだけできました
2026/08/15 18:00
第24話:見覚えのある、背中
2026/08/16 18:00
第25話:三年ぶりの、一皿
2026/08/17 18:00
第26話:タニアの一日
2026/08/18 18:00
第27話:片手で、ひとつ
2026/08/19 18:00
第28話:召し上がれないのですね
2026/08/20 18:00
第29話:奥様は、何を召し上がれませんか
2026/08/21 18:00
第30話:帳面の、二枚目から
2026/08/22 18:00