↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

イサナ(古い言葉で鯨)

作者:鯨
最新エピソード掲載日:2026/11/03
 私は、この世界で起きることをひとつ残らず見ている者です。戦場で縄が切られる音も、宮廷で銀の匙が置かれる音も、山奥の村で鍋が煮える音も、同じ夜に、同じだけ聞こえています。見て、聞いて、帳面に書き留める。それが私の役目です。

 名前は、ありません。それでは呼びにくいでしょうから、港の外れにある好きな宿の名から借りて、イサナと名乗っておきます。古い言葉で、鯨のことです。

 その帳面の最後の頁に、ある晩、見たことのない文字が浮かびました。はじめは読めませんでしたが、紙の向こうで誰かがこちらを覗いている、その気配だけははっきりと伝わってきました。どういう仕組みなのかは、すべてを見ているはずの私にも、わかりません。けれど、向こうに読む人がいるのなら、書いてみようと思ったのです。

 それから毎晩、浮かんでくる文字を眺めているうちに、そちらの言葉が少しずつわかるようになりました。ですからこの帳面は、そちらの言葉に直して書いています。料理や道具の名も、なるべくそちらで通じる名に置き換えました。たとえば私が「豚汁」と書いたら、こちらで豚汁にいちばん近いもののことだと思ってください。似ているだけで、まったく同じではないかもしれません。どうしても置き換えられないものだけ、こちらの名のままにしてあります。
第1話 兵の荷袋
2026/10/19 20:42
第8話 七代目
2026/10/24 18:40
第12話 十二の息
2026/10/25 08:10
第24話 陣の朝夢
2026/10/31 07:40
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。