最後の一行は、まだ読まない
最終エピソード掲載日:2026/09/01
シャワル・ミレイス、七十四歳。
彼は、壊れゆく魔術が“最後の一線”を越えることだけを、ほんのわずかに抑えることのできる老魔術師だった。
崩壊する設備を直すことはできない。
傷ついた人を治すこともできない。
死んだ者を生き返らせることもできない。
彼にできるのは、ただ少しだけ終わりを待たせること。
その数十秒のあいだに、誰かが人を救い、誰かが傷を治し、誰かが壊れたものを直していく。
そんなシャワルには、生涯ただ一つだけ、最後まで受け取らないと決めているものがあった。
幼い頃から何度も読み返してきた十二巻の物語。
『風見鶏の街道』。
擦り切れるほど読んだ第一巻から第十一巻。
そして、一度も開かず金庫へしまったままの最終巻。
作者が物語を終えたことは知っている。
結末を否定しているわけでもない。
それでも。
「一つくらい、最後を知らないまま持っていくものがあっていいだろ」
これは、数え切れない“最後”を少しだけ待たせ、人々へ明日を渡し続けた一人の魔術師が、自分自身の最後へ辿り着くまでの物語。
彼は、壊れゆく魔術が“最後の一線”を越えることだけを、ほんのわずかに抑えることのできる老魔術師だった。
崩壊する設備を直すことはできない。
傷ついた人を治すこともできない。
死んだ者を生き返らせることもできない。
彼にできるのは、ただ少しだけ終わりを待たせること。
その数十秒のあいだに、誰かが人を救い、誰かが傷を治し、誰かが壊れたものを直していく。
そんなシャワルには、生涯ただ一つだけ、最後まで受け取らないと決めているものがあった。
幼い頃から何度も読み返してきた十二巻の物語。
『風見鶏の街道』。
擦り切れるほど読んだ第一巻から第十一巻。
そして、一度も開かず金庫へしまったままの最終巻。
作者が物語を終えたことは知っている。
結末を否定しているわけでもない。
それでも。
「一つくらい、最後を知らないまま持っていくものがあっていいだろ」
これは、数え切れない“最後”を少しだけ待たせ、人々へ明日を渡し続けた一人の魔術師が、自分自身の最後へ辿り着くまでの物語。
最後になる前に
2026/08/28 16:25
(改)
十二冊目だけが新しい
2026/08/28 16:29
(改)
九分
2026/08/28 16:32
助けたのは誰か
2026/08/28 16:35
風見鶏の街道
2026/08/28 16:37
終わりたがっている風
2026/08/28 16:40
三十秒あれば
2026/08/28 16:42
老いぼれ二人
2026/08/28 16:44
名前を忘れる前に
2026/08/28 16:47
私は十二巻まで読んだ
2026/08/28 16:50
何秒持ちますか
2026/08/28 16:52
全部、同じ傷だ
2026/08/28 16:55
古い町
2026/08/28 16:58
現場から外す
2026/08/28 17:02
棺へ入れる本
2026/08/28 17:06
違う最後
2026/08/28 17:09
あなたがいなくても
2026/08/28 17:11
あと何冊読める
2026/08/28 17:14
止める人がいなくても
2026/08/28 17:17
セルマという人
2026/08/28 17:21
冬嵐
2026/08/28 17:24
二つ目
2026/08/28 17:28
四十年前と同じだ
2026/08/28 17:32
町の最後
2026/08/28 17:35
未読
2026/08/28 17:39
これは終わった
2026/08/28 17:42
十一冊
2026/08/28 17:45
死ぬ前は、まだ生きている
2026/08/28 17:50
未読のまま
2026/08/28 17:54
最終話 最後の一頁
2026/08/28 17:58
(改)
あとがき
2026/09/01 09:04