嘘告白を、九十日に延ばしました ~罰ゲームの台本に書かれた「恋人がやること」三十件を全部ほんとうにしたら、嘘をついた彼女のほうが泣きだした~
最終エピソード掲載日:2026/08/28
「七日後に、笑って振ってくれればいいので」
二年の三雲透には、人の声に混じる息の乱れが聞こえる。ただし、それが嘘なのかどうかまでは分からない。
放課後の昇降口で放送部のエース・鳴海凛に告白されたときも、物陰のスマホと、彼女の指が握りつぶしている紙の音に気づいていた。
罰ゲーム。期限は七日。紙には「恋人がやること」が三十件、書き出されている。
だから透は、頷いてこう言った。
「七日じゃ足りません。九十日にしてください。三十件、全部やるので」
嘘だとは、一度も言わない。
放送室の相談箱に届いた匿名の相談へ、凛が完璧な答えを返す。透はその答えのとおりに、その日ひとつ、約束を果たす。
――話さなくていいよ。歩く速さを合わせれば伝わる。
――誘わなくていい。先に座って、席を一つ空けておけばいい。
凛が自分で答えたやり方で、凛の逃げ場が一つずつ消えていく。
果たした行に線を引くのは、いつも彼女の手だ。
あと八十九日。あと六十日。あと二十九日。
嘘をついたほうが、先に泣きそうな顔をしている。
二年の三雲透には、人の声に混じる息の乱れが聞こえる。ただし、それが嘘なのかどうかまでは分からない。
放課後の昇降口で放送部のエース・鳴海凛に告白されたときも、物陰のスマホと、彼女の指が握りつぶしている紙の音に気づいていた。
罰ゲーム。期限は七日。紙には「恋人がやること」が三十件、書き出されている。
だから透は、頷いてこう言った。
「七日じゃ足りません。九十日にしてください。三十件、全部やるので」
嘘だとは、一度も言わない。
放送室の相談箱に届いた匿名の相談へ、凛が完璧な答えを返す。透はその答えのとおりに、その日ひとつ、約束を果たす。
――話さなくていいよ。歩く速さを合わせれば伝わる。
――誘わなくていい。先に座って、席を一つ空けておけばいい。
凛が自分で答えたやり方で、凛の逃げ場が一つずつ消えていく。
果たした行に線を引くのは、いつも彼女の手だ。
あと八十九日。あと六十日。あと二十九日。
嘘をついたほうが、先に泣きそうな顔をしている。
1. 七日じゃ足りません
2026/08/20 00:40
2. 席を一つ空けておく
2026/08/20 08:27
3. 間違えたふり
2026/08/20 12:10
4. 袖
2026/08/20 17:10
5. 一つだけ増やす
2026/08/21 00:28
6. 濡れるほう
2026/08/21 08:10
7. 手だけ
2026/08/21 12:12
8. 紙に残った答え
2026/08/21 17:10
9. 一本手前
2026/08/21 23:37
10. 名乗る
2026/08/22 08:10
11. 行き先を決めない
2026/08/22 13:02
12. 十二分の道
2026/08/22 21:31
13. 片方ずつ
2026/08/23 08:10
14. 焼き方
2026/08/23 12:10
15. ついでみたいに
2026/08/23 17:10
16. 十五分だけ
2026/08/24 09:21
17. 放送部やめれば
2026/08/24 12:10
18. 二十秒
2026/08/24 18:30
19. 台所の椅子
2026/08/25 08:10
20. いちばん最初に
2026/08/25 12:10
21. 練習だと言って
2026/08/25 18:30
22. いちばん言いにくいこと
2026/08/26 08:10
23. 下がったつまみ
2026/08/26 12:10
24. やらなかったこと
2026/08/26 19:10
25. いつもの呼び方で
2026/08/27 08:10
26. 頼まれごと
2026/08/27 12:10
27. 落とさない指
2026/08/27 19:30
28. 始発の左側
2026/08/28 08:10
29. 柱の陰
2026/08/28 12:10
30. 原稿のない朝
2026/08/28 18:10