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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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亡き奥様への貞節とおっしゃるので、三年お待ちしました。では、婚姻無効の手続きをいたしましょう

作者:chiro
最終エピソード掲載日:2026/10/16
「アデラインとの約束を破るわけにはいかない」

 三年前、王命でフォークナー公爵家に嫁ぎました。
 けれど旦那様が私の寝室の扉を開けたことは、一度もありません。
 亡くなった前の奥様――アデライン様の遺言を守るためだそうです。
 「私が死んだら、二度と誰も愛さないで」と。

 その遺言を聞いたのは、アデライン様の妹君ただ一人。
 彼女は今も、姉の思い出の管理人としてこの屋敷にいます。

 三年間、私は家政をひとりで回してきました。
 だから気づいてしまったのです。
 アデライン様の薬代は、亡くなる月まで帳簿に計上されている。
 けれど、その薬が使われた記録が、どこにもない。

 そんな冬の夜、雪の中から声がしました。
 名を捨てたという、医師の声が。

 ――旦那様。亡き奥様への貞節とおっしゃるので、三年お待ちしました。
  では、婚姻無効の手続きをいたしましょう。
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