天孫降臨 天照大御神の孫、邇邇芸が日向に降り立つ
最終エピソード掲載日:2026/07/20
地上を覗くのが好きだった。
高天原(たかまがはら)の宮殿の縁から、毎日。
山が白くなる季節。川が太くなる季節。森が茶色くなる季節。
全部見た。全部——分からなかった。
「降りて、自分で見つけなさい」
祖母アマテラスに三種の神器を渡されて、天を降りた。
剣は光らなかった。
道は境界の神に塞がれていた。
地上は重かった。水が重い。空気が重い。飯がうまい。
夕暮れの丘で——花びらが舞った。
振り返った女と目が合った。名前を聞こうとした。
——言葉が出なかった。
天の者が地を踏む。
剣で道を開いた男が、花の前では声が出ない。
サルタビコに啖呵を切った口が、コノハナサクヤヒメの前では四つしか言葉が出ない。
「ああ」「二日目だ」「天から来た」「ここに来る」
——四つ。情けない。
天孫ニニギの一人称で描く、
日本神話最大のラブストーリーと、地に根を張るまでの物語。
古事記・天孫降臨編〜木花之佐久夜毘売編。
日本神話シリーズ第三作。
高天原(たかまがはら)の宮殿の縁から、毎日。
山が白くなる季節。川が太くなる季節。森が茶色くなる季節。
全部見た。全部——分からなかった。
「降りて、自分で見つけなさい」
祖母アマテラスに三種の神器を渡されて、天を降りた。
剣は光らなかった。
道は境界の神に塞がれていた。
地上は重かった。水が重い。空気が重い。飯がうまい。
夕暮れの丘で——花びらが舞った。
振り返った女と目が合った。名前を聞こうとした。
——言葉が出なかった。
天の者が地を踏む。
剣で道を開いた男が、花の前では声が出ない。
サルタビコに啖呵を切った口が、コノハナサクヤヒメの前では四つしか言葉が出ない。
「ああ」「二日目だ」「天から来た」「ここに来る」
——四つ。情けない。
天孫ニニギの一人称で描く、
日本神話最大のラブストーリーと、地に根を張るまでの物語。
古事記・天孫降臨編〜木花之佐久夜毘売編。
日本神話シリーズ第三作。
第一章 高天原
2026/07/13 13:20
第二章 境界の神
2026/07/14 17:16
第三章 剣を抜く
2026/07/14 17:28
第四章 道が開く
2026/07/16 17:26
第五章 地上の重力
2026/07/16 18:40
第六章 日向の夕暮れ
2026/07/19 20:28
第七章 名前を知った日
2026/07/19 20:35
第八章 二人きりになれない
2026/07/19 20:43
第九章 サルタビコ
2026/07/19 20:44
第十章 サルタビコとの決着
2026/07/19 21:02
第十一章 求婚
2026/07/19 22:01
第十二章 岩長比売(いわながひめ)
2026/07/19 22:11
第十三章 花が欲しい——石は要らない
2026/07/19 22:16
第十四章 大山津見(おおやまつみ)の怒り
2026/07/19 22:20
第十五章 結婚——しかし
2026/07/19 22:28
第十六章 花びらが来なくなった
2026/07/19 22:32
第十七章 疑う者は根を張れない
2026/07/19 22:40
第十八章 産屋に火を放つ
2026/07/19 22:46
第十九章 炎の中の声
2026/07/19 22:57
第二十章 信じられなかった俺が、間違っていた
2026/07/19 23:03
第二十一章 花びらが満ちた集落
2026/07/19 23:37
第二十二章 コノハナが知っていたこと
2026/07/19 23:45
第二十三章 短命
2026/07/20 00:02
第二十四章 ヒサメ
2026/07/20 00:11
第二十五章 伊勢の海
2026/07/20 00:27
第二十六章 天降(あもり)
2026/07/20 00:39
第二十七章 大国主の声が届く
2026/07/20 00:46
第二十八章 桜散る
2026/07/20 01:26
第二十九章 根
2026/07/20 11:32