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朝ごはんを一緒に、海の底で会いましょう

作者:乾為天女
最新エピソード掲載日:2026/07/22
 海底都市メルティカでは、古い溶鉱炉が街の熱と空気を支えている。炉心博物館の前で朝ごはん屋台を営むカリネは、毎朝、解説員ヴィルモスへスープを差し入れていた。閉館の噂が広がるなか、展示品の円形パズルから欠けた一片が見つかり、差出人不明の恋文には「海の底で会いましょう」と記されていた。さらに展示品「あの人の息」が光り、炉の音が乱れ始める。
 カリネは技師でも議員でもない。それでも、朝ごはんを食べに来る人々の話を聞き続け、古い恋文、無人の寺、欠けたパズル、溶鉱炉の異変が一つにつながっていると気づく。変化を恐れるヴィルモスも、父の事故と誤った展示説明に向き合い、カリネと共に街を守るため動き出す。
 閉館猶予の最終日前夜、溶鉱炉は沈黙し、海底都市の夜景が消えかける。カリネは集めてきた住民の声を束ね、無人の寺の地下制御室、博物館、街の広場をつなぐ。朝ごはんを囲んできた人々の息が重なったとき、欠けたままだったパズルの意味が明かされる。これは、聞き流されてきた声が街の未来を灯す、笑って少し泣ける海底都市ファンタジー。
第37話 閉館票
2026/07/20 06:10
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